08:ガンダルヴァー村を目指す者 ページ23
.
まだ陽も昇っていない時間帯。朝早く起きるぞと念を唱えながら寝たものの、中々上手くはいかないらしい。
「──起きろ」
「………朝…?」
「朝だ」
また長い夢でも見ていたような気分だ。肩を揺らされる感覚には覚えがあって、瞼を開ければ、私の顔を覗き込むセノさんの姿があった。
躊躇なく部屋に入るのか、いやセノさんだから躊躇はしないか、などと思考を巡らせながら体を起こすと「リビングの方で待っている、準備はゆっくりするといい」と部屋を出ていった。
長い間歩くことになるため、可愛らしいというより動きやすい服を選び、二人に合流した。
アシパキさんが先頭を行き、私が続いて、後ろをセノさんが付いてくるといった構図でガンダルヴァー村を目指す。砂漠の岩盤を通り過ぎると、雨林が見えてきた。
「よし、ここで少し休憩していこう」
倒れている大樹の幹に座ると、少し先まで食材を取りに行ってくるとアシパキさんが森の奥の方へ消えていった。
ガンダルヴァー村から逃げている時はゆっくりとしていられなかったけれど、こうして見渡すと長閑な雰囲気に天高く伸びる樹木達が織り成す風景は幻想的である。
「セノさん」
兜を外した彼の方を見る。
「なんだ?」
「よかったらセノさんのことを教えてもらえませんか」
「構わない。だがあまり聞いていて面白くないと思うが」
「私が、セノさんのことを知りたいので……」
なんだか少し照れくさくなって頭を下げると、「分かった」と返事が来た。嬉しくなって顔を上げたのと、悲鳴が聞こえてきたのは同時だった。
「──!」
アシパキさんの叫び声であることはすぐに分かった。瞬時に危機を察したセノさんが、私の手を引いてその俊足で声のした方へと駆ける。
そしてそこには魔物に囲まれるアシパキさんが蹲っており、既のところでセノさんが飛び上がり魔物を狩った。それから、アシパキさんと私の手を引いて、大木の裏へと案内されると。
「ここで待っていてくれ」
セノさんの背後からはまだ沢山の魔物の呻き声がしている。
.
154人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲原(プロフ) - まるさん» 読んでくださり光栄です。。!ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)! (8月13日 12時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 最高でした!!お疲れ様です! (8月13日 6時) (レス) @page48 id: 626fa9ab7b (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - あいうさん» ご覧頂きありがとうございます!元ゲームの雰囲気を壊さずに慎重に書いていましたのでそう言っていただき光栄です……!自分らしく執筆を頑張りますね! (2023年2月21日 16時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
あいう - セノの小説あまり無かったのでめっちゃ嬉しいです!話しも自然ですごいです。めっちゃ好きです。自分のペースで更新頑張って下さい!応援してます!! (2023年2月20日 1時) (レス) id: 914ffe60d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲原 | 作成日時:2023年1月19日 12時