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「…ん、ふ……、」



仮にも人通りはなくとも、こんなことを外でやるなど。なんてそんな背徳感に歓喜している心は見ないふりしておきたい。

天海くんは私を私でなくする。天海くんを前にすると、私は私でなくなる。


下唇を食まれた刺激に耐えようと口の隙間を作ってしまえば、そこに舌を捩じ込まれる。その衝撃にまた口間を広げると、キスをするように舌が絡み合った。

震える肩を抱きしめては、欲望ごとこちらへ委ねてくるのだ。



「んぁ…っ、ぅん……」



天海くんはこういったキスが好きなのだと、付き合っていく内に嫌でも分かった。そして、私がこういったことに慣れていないのを知りながら、よくこうして手を握り合う。

嫌だ、とか言ってみたいけれど、彼の前で嘘はつきたくないし、そんな嘘を彼は見抜いてしまうのだ。



「…っ、あまみ、くん……」



離れた熱を繋ぎ止めるような銀の糸を西日が照らした。そんな光景を見ていないかのように俯くと、少し冷たい手が私の頬を包み込んだ。

少々息切れしている私を見ては、「可愛いっす」とか言うから、何と返していいのか分からないまま。



「ダ、ダメだよ。こんなところでしたら…」

「高宮さん、それ言うの何回目っすか」



笑いながらも再び手を握ると、また歩き出した。



「誰かに見られる可能性があるし……」

「確かにそうっすよね。高宮さんが可愛いから、いつも制御できなくなるっす」

「で、でも……誰にも見られないところなら……」



案外聞き入れる姿勢を見せられてしまったから、少し自我を出しすぎたのかもしれない。立ち止まった天海くんに凝視され、「誰にも見られないところって、どこっすか?」と耳元で囁かれた。



「いや…っ、あの、やっぱり……!」

「俺の部屋来るっすか?」

「え!えっと、へや……」



行かないとも言えず、けれどそんな飛び級なんて心臓がいくつあっても足りず。



「その時が来たら……行きます…」



熱くなった顔を誤魔化すように下を向けば、彼がまた私の顔を包む。顔を上げれば、眉を下げて笑う天海くんと目が合ったのだった。




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◆Beige P!nk(獄原)→←◇



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咲原(プロフ) - ももかさん» リクエストありがとうございます!申し訳ありませんが、別の短編集にて書かせていただきますね。お手数お掛けします。。! (11月25日 13時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 夢野秘密子ちゃんと夢主ちゃんが恋愛をしていて...恋人で両ヤンデレのお話が見たいです...!! (11月11日 13時) (レス) id: dc5ce1bb66 (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - ♡さん» 確認が遅れてしまい、申し訳ありません。大変有難いお言葉です……(;;)!リクエスト了解致しました! (9月27日 20時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼します!咲原さんの夢小説めっちゃ好きです!!あの…もしよろしければゴン太くんのやつみたいなキュンキュンする真宮寺くんの夢小説書いてくださりませんか…? (8月20日 1時) (レス) @page27 id: 1e4698083a (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - オンブルさん» オンブルさんお久しぶりですー!リクエスト了解致しました!気合を入れて甘く仕上げさせていただきますね。。! (8月13日 12時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲原 | 作成日時:2022年12月5日 18時

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