【死柄木弔】崩潰地帯【轟焦凍】 (ページ15)

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崩潰地帯ページ15

それは、必然的のようで突然だった。

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ヒーロー新聞 4紙面より一部抜粋

手記:広瀬知哉記者

先日、尊い1人の少女の命が警察病院にて亡くなった。エンデヴァー氏の娘であり、敵連合の1人、轟雫さん(享受15)。(敵名は死牙雫)

警察の調べによると、ステイン事件の際にエンデヴァー氏と交戦の後、自らの個性が原因で意識不明の重体に。
病院で何とか一命を取り留めたものの付属していた点滴で首吊り自殺を図ったと思われる。

笑顔で亡くなっていたという彼女の手には遺書と見られるものが握られていた。

＂私を見ていてくれて、捨ててくれて、探してくれて、見つけてくれて、広めてくれて、教えてくれて、支えてくれて、愛してくれて、ありがとうございました。

さようなら

死牙雫

宛先人は居なかった。恐らく家族、敵連合など複数人に向けて書かれたものと思われる。

以前、私がまだフリーライター時代に、彼女にインタビューしたときに趣旨が異なっていたため雑誌には記載しなかった、言葉がある。

＂個性が社会的に広がって「ヒーロー」と「ヴィラン」が確定された当時、個性を使って暴れ狂うヴィランを止めるため、やむを得ずヒーローは登場したのだと思います。

でも今は違う。
必要だからヒーローがいるのではなく、ヒーローになりたい憧れ一心で気取る偽善者(エゴイスト)が多すぎる。

そしてその考えがまたヴィランを生む。

今恐らく必要とされるのは、敵を倒した後の生き残った人たち。例えば、ヴィランの子供だったり、生存者だったりをどのようにどれだけ救えるか、ではないでしょうか。

私の場合は、私を認めて支え愛してくれるのが、親のエンデヴァーではなく敵連合だった。私にとって彼らは英雄だ。

ヒーロー志望の皆さん、救える人は何も目の前でヴィランに襲われている人たちだけじゃないんです。

ヴィランもまた社会に見放された被害者であることを、ヴィランも人であり人権がある事をどうか忘れないで。＂

僅か15歳の子供が語ってくれた。
現役ヒーローも、それを目指す子供たちも、大人も、1度立ち止まって考えてほしい。

敵堕ちした者と考えるのではなく、救える距離にいた子供が敵側へ周り命を落としたその事実を無駄にしてはいけない。
常に何が正しいか考え続けてほしい。