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「先輩は、」
「ん？」
どんな返答が来てもきっとダメージは負うだろうし、立ち直れるかも分からない。
そもそも、あまりに突然、ただでさえ瀕死状態でHPが一桁なのにろくな装備も出来ないまま、まさかのラスボスの方からお出ましなんて無理ゲーだ。
…それでも、聞かなきゃならない。
「先輩は、きょもと、仲良いんすか。」
防御を完全に捨てた俺の、捨て身の闘いに、爽やかなラスボスはしばらく真剣な顔で答えを考えてた。…やっぱり盾くらいは必要かな。この隙に取りにいくべきか。なんて気を紛らわせながら待つ。
「…俺さ、多分友達いないんだよね。
信用してないとかじゃないんだけど、
友達だって思えなくて。」
『冷たい奴でしょ。俺。』と、自虐混じりに話す先輩は、どこか寂しげに思えた。
「…でも大我は、友達なんじゃないかと思うよ。」
その答えは、俺が想像していた悪魔のような最強の敵とは程遠く、あっけに取られて言葉が何も見つからない。
コイツは、きょもを振り回す最低な奴ではないのか。
「…先輩は、きょもが好きなんですか。」
もしかしたら敵は俺の方で、二人の邪魔をしているのかもしれない。そう思ったら、聞かずにはいられなかった。
咄嗟に、自分の恋よりもきょもの心配をしているのだから、相当惚れているらしい。
「樹が俺をどう思ってるか知らないけど、俺と大我は友達だよ。」
「っ、きょもは、そう思ってないかもしれない。」
「そんなの本人に聞かないと、」
「聞けるわけないだろ！」
聞いたら、本当に全てが終わってしまうかもしれない。俺はいよいよ本当にこの恋を諦めないといけないかもしれないんだ。
そんな簡単に言わないでくれよ。
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作者名：ひじり
| 作成日時：2020年11月1日 22時
