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Taiga side

あれから一週間。

樹がいない放課後の準備室。

探しに来る…わけないか。あんなこと言っちゃったし。

あの時の樹、傷付いた顔してた。苦しそうだった。あんな顔は初めてで。そこでやっと、樹を突き放してしまったんだと気付いた。

俺は馬鹿だ。

声にしたらそれは消せない。そんなこと、分かってたはずなのに。

「…樹、」

呼べば出てくるあの笑顔も、
呼ばなくても聞こえる足音も、

自分から手放してちゃ世話ないや。

俺が高校に入学した頃、俺は一人だった。
樹が入学してきた頃も、俺は一人だった。

でも、ずっと一人だったわけじゃない。

高校一年の、ちょうどこんな色の空の日だったかな。樹より前に、あの立て付けの悪いドアを開けた人がいた。

たしか、いきなりガラガラという音がして

"ぁ、"

俺を見ると驚いたように固まってた。
イメージとは違って焦っている様子は意外だった。

俺が思わず

" 大丈夫？"

と声をかけるとハッとしたように元に戻って

当たり前のように入ってきては

" …いい場所だね "

と微笑んでた。

ジェシーは、最初から変なやつだった。