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「…帰れよお前は。」

「親友に向かってそれは無いだろ。」

本当に愛想のない友人だ。

俺がこんなに真剣な顔をして読書の邪魔をしているのに、相手にしようともしない。

なにが半沢だ。何と戦う訳でもない俺たちが読むにはカッコよすぎるだろ。

…まぁブックカバーで何の本か分かってないけど。

「聞こえてるから。」

「なに。」

「半沢さん馬鹿にすると倍返し食らうからな。」

「あー、じゃなくてお前を馬鹿にしてた。」

「尚更帰れよ。」

放課後の図書室には、俺と北斗の二人だけ。

相談するにはもってこいだ。

北斗が帰らせようとしてきても簡単には引けない。

「…俺、諦めようかな、。」

北斗への妨害行為を放棄して、
机に突っ伏して窓の外をボーッと見る。

口に出すとより現実味をました。

「もしかしたらあの人は俺じゃダメなのかもしれない。」

「…、」

「うわ、口にするとキツいわー」

思った以上に沈んでいる自分に、
慌てて気持ちを持ち直す。

「はぁ、…それは気になるから。」

身体を起こすと北斗は本を閉じていた。

多分割とちゃんとした悩みであると判断したんだろう。こいつはそういう奴だ。

「お前、意外と良い奴だよな。」

「…もう絶対聞かねぇ。」