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チャイムが鳴った。

二時間目が始まる。

ガラガラと扉を開けて入ってきた先生は、教卓の前で日直に号令を促した直後に、使うはずのプリントを置いてきた。と慌てて教室を出ていった。

数分で戻ってくるのなんてちょっと考えればわかるのに、あっという間に無法地帯となった教室はクラスメイトの雑談で埋まっていく。

他の授業なら俺も先陣を切って話し始めるけど。
でも今の俺は話す素振りを見せない。もっと言えば教室に顔すら向けない。

この時間が、俺が二年に上がってからずっと窓際に座り続けている理由なんだから、他の奴らの話なんてどうだっていい。

ガラガラと扉が開く音がして

『お前ら3分も静かに待てないのか』

なんて先生の小言が聞こえて、
改めて号令をして授業が始まった。

俺は相変わらず教室には興味がない。

毎週水曜の二時間目。

俺は50分という時間のすべてを、校庭の日陰にポツンと座る君を見ることに費やしている。

今年も同じクラスになった北斗は多分、妙に静かな俺を見て、またやってるよ。なんておもっているんだろうな。

…まぁ、北斗になんと思われそうが構わないけど。

君は静かに校庭を眺めていた。

つまらなそうに、この世界に生きていた。

「まーたサボってやんの、」

そう呟くと、その横顔がこっちを見上げた。

聞こえたのか。と思わず身構えたが、落ち着け。俺。聞こえているはずがない。こんなに離れているんだから。

君は、俺と目が合うと怒ったように口を尖らした。

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