17/ ページ18
side Juri
「樹ってさ、」
「なに？」
「…人の目とか気にしないタイプ？」
「…、っお前までそんな事言うなよぉ！」
「うるさ、」
男子高校生として 唯一まともな時間が俺にもあるとすれば、それは確実に今。友達といる瞬間なわけで。
でもそんな時も俺の頭は安定にきょものことでいっぱいなわけで。
まぁ、そんな俺でも、意外とモテるわけで。
「樹は、潔が良くていいよね」
「なに急に。褒めんなよ。」
「褒めてると思わせたのならごめん」
「なんかムカつくな」
「ていうかさ、」
「ん？」
「…樹といると、目立つから嫌なんだけど」
「…それは…、ごめん、」
「まぁ もう慣れました」
北斗は物静かな奴だけど、こんな見た目してるから結構注目されている。
似ても似つかないけど、きょもと似たような境遇だと思って貰えたら分かりやすいかな。
「まぁ北斗には俺がいるもんな！」
「そういうの 大丈夫なんで」
「てかそんな事よりきょもだよ！
夏休みとか 絶対無理じゃん俺。」
「…だからその話を教室のど真ん中で出来る時点でもう何でもありだと思うのよ」
呆れながら 話を逃さず受け取ってくれる北斗は、ちゃんと俺の 親友 でいてくれてる。
男が好きだと大声で叫んでいるような俺でも
普段通り、男の友達として接してくれる。
「北斗は変だよな」
「え、お前が言うなよ」
「男が好きな俺にも 変わらない。」
「…あぁ。そういうこと。」
「だってそうだろ。普通 引かね？」
俺の素朴な疑問に対するこいつの答えは
俺がこれからもこいつを信用しようと思うには、十分過ぎるほどだった。
「…だって、樹は、
男じゃなくて その人 が好きなんでしょ」
その通りだった。
ゲイと言われる覚悟はしてたし、
もちろん既に何度か言われてきた。
北斗の感覚に、俺は、救われた気がする。
「俺は 女なら誰でもいい。って奴よりも
男でも女でも その人 がいい。
って言える人の方がいいと思う。」
教室に放たれたその言葉は
酷く心に染み込んで、
周りの意識が北斗に向けられた。
拍手さえ聞こえそうな程の空気に『え、何、見ないでこっち』と、照れる北斗は、いつもの澄ましてる北斗じゃなくて、なんだか少しだけ 可愛く見えた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 364人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひじり
| 作成日時：2020年11月1日 22時
