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side Taiga
樹は 毎日飽きずに俺を呼ぶから。
音楽準備室は 俺だけの場所じゃなくなった。
「…雨だね。」
「ん？きょも、雨嫌いなの？」
「うーん、嫌いじゃないけど、」
「けど？」
「一人になった気がする。」
雨の中を進むとき、傘に雨がぶつかって、心地よい音色を出す。でも、その音は俺を世界から遮断してくる気がする。
雨の日は、いつもより孤独だ。
「…、そうなんだ。」
「樹は好きなの？」
「うん。俺は好きだよ。」
「似合わない」
樹は、天気に例えるなら晴れだ。
少なくとも俺といる君は、いつも晴れてる。
「前は嫌いだったけどね」
「じゃあなんで。」
「…引かない？」
「うん。なに？」
「、…きょもに会って、今まで鬱陶しかったものが なんでか全部好きになった。」
「……、」
「引いてるじゃん。」
" きょもは知らないだろうけど、きょものおかげで人格変わってるんだからね。俺。 "
と、少しの不満を感じる表情で
それでいて、今の自分を嫌っているようには見えなかった。
樹はきっと、ずっと優しかったと思うけど。
「俺も、雨が好きになるのかな。」
「俺に落ちればなるんじゃない？」
「……、」
「あれ、え、もう落ちた！？」
「…馬鹿じゃないの。」
嫌いなものや嫌いなことを思い浮かべて、
その後に樹を見てみたけど
俺を愛おしそうに見つめてるいつもの顔を見たら、
浮かんでいた嫌いなものたちは消えていって、
ムカつく年下に埋められた。
俺も、いつか樹を好きになる日が来るんだろうか。
だとしたらそれは、
どんな合図なんだろうか。
ちゃんと気付けるだろうか。と、
俺らしくない心配事が過ぎったまま
昼休みのチャイムが鳴った。
慌てて準備室を飛び出す二人は
ちゃんと、ちゃんと、、
ちゃんと 友達 にみえているだろうか。
・
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作者名：ひじり
| 作成日時：2020年11月1日 22時
