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入学式に胸を膨らませる人を
小学生の頃から
鼻で笑ってるような奴だった。
新しい生活に緊張している人を
心の中で
ダサいと思っているような奴だった。
そんな奴が、俺 という人間だった。
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「……、よし。」
人生初の学ランに袖を通して、まだ埃一つない全身鏡に映る自分と向き合う。
鼻から吸った空気が 肺に回って膨らむ。
胸の張り具合、姿勢の良さから、自分の高揚感が如実に表れている。
…今日から、高校生だ。
俺が今まで鼻で笑っていた人が 鏡に映っていた。
履き慣れていないローファーに
嗅ぎ慣れない家の匂い。
何とも言えない緊張感とソワソワが、鳥肌になって表れた。
…だっせ。俺。
「よし、行くか。」
気合を入れて
ガチャリと強気にドアを開けると
俺の、
田中樹の、
物語が始まった。
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作者名：ひじり
| 作成日時：2020年11月1日 22時
