ただ君を愛してる _Taiga.kyomoto_ (ページ5)

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大｢Aー｣

｢なに？｣

貴方が私の名前を呼ぶと
否が応でも心が跳ねる。

それを悟られないように顔に出ないように

必死で自分を作るんだ。

大｢あー疲れたぁ！｣

そう言って地面に座る私の後ろに座って
疲れたーって私を包むの。

私の背中に頭をグリグリってやって
精一杯の充電をするみたいに。

大｢ねぇごめんね｣

｢……いいよ｣

大｢良くないよ
Aに対して真っ直ぐじゃない｣

｢それは …仕方ないもん｣

仕事のことは分かってるつもりだった。

私に大切に接してくれてることも
それでも私を特別には出来ないことも

全部分かった上で貴方を愛してた。

仕事が私たちの邪魔をしているなんて
思えたことは1度だって無かった。

後ろにいる人の力がふと弱まって
眠ったことに気がつく。

横にして掛け布団をかけてやると
うっすらと見えるクマと長くて綺麗なまつ毛。

染めたての金髪は当時の私にはまだ眩しかったな。

あれだけ大きな舞台に立って、

でっかい存在感でたくさんの人を魅了しているのに

眠っている彼は

ただの男子高校生で。
まだ成長段階の少年のようで。

今だけは、なんの肩書きもない
純粋無垢で綺麗な男の子だった。

私からは触れられないその人はどこまでも潔白で苦しいほどに一直線なんだ。