Sanctuary <Jesse×Hokuto> (ページ31)

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先生の書斎で課題も終わらせ、
やることもない学生が一人。それが俺。

机にひれ伏して先生をぼーっと見つめる。

「…せんせ、」

聞こえないのを分かってて声に出す。
貴方が俺の存在を消している今も、俺は律儀に貴方を見つめて想ってる。

なかなか素敵な恋人だと思わない？

その腕が動いている間、俺は先生をただ眺めてる。

これが俺の、片想いの時間なんだ。

先生、俺＿＿＿＿、

ガチャリと扉の音が聞こえる。…来やがった。

ノックもしないでここに入って来る奴なんて、俺とアイツしかいない。

「よ、ジェシー。北斗の調子どう？」
「げ、…田中樹、」
「なぜにフルネーム。」

書いている北斗を視界に捉えた瞬間、状況を察して俺に声をかけてくる子の男は、樹。

北斗の担当者だ。しかも随分と仲が良い。

「こーちは？」
「高地は忙しいの。俺で我慢してやって。」
「…最悪、」
「そんなに、？」

樹が嫌いな訳じゃない。
何が嫌だって、先生も樹が好きだからだ。

…同年代で仲が良いって、ずるいじゃん。

しかも先生は俺に会う前から同性と関係があったわけだし、樹だって危ない。

「…樹、来たんだ。」
「おう北斗。様子見にきた。」
「…そ、」

ペンを置いた先生が、樹に声をかける。

先生は樹の顔をしばらく見たあと、
ふぅ、と息をひとつ吐いて俺に言った。

「ジェシー、樹にお茶いれてくれる？」
「えー、やだ。」
「おい。いれてくれよ。どんだけ嫌いだよ。」
「ごめんね樹。
　お茶いれるのは先生だけって決めてるの。」

「じゃあ自販機でコーヒー買ってきて。」
「…、分かった。」

真剣に言われたら俺にはどうにもできない。

先生は立ち上がって
自分を財布を取り出そうとしてたから

俺は急いで外へ出た。