検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:83,848 hit

ページ16






俺の知らないジェシーは、以前もこうやって誰かと過ごしていたんだろうか。





「…先生、ヤキモチなら幾らでも大歓迎だけどさ、
 今日のはちょっと違うかも。」

「どういうこと?」





バツが悪そうな顔をして、少し照れた様子の君は、やっぱりどこにでもいる大学生だ。





「久しぶりのデートに舞い上がっちゃって、
 沢山考えたの。
 
 でも先生"普通のデートがしたい!"って言うでしょ?
 
 普通っていうのが分からなくてさ、
 なんか気付いたら
 色んな人に手伝ってもらっちゃって、

 先生のために、頑張って普通のデートにした。」





『それに、先生に会った時に今までの俺は消えたから』





そう言ってのけるこの人は、それで俺がなんとも思わないとでも思っているのか。

俺の為と言ってジェシーを手伝ってくれた色んな人達に、何も感じないと思っているんだろうか。

嬉しいような、それでいてムカつくような、自分でも言いようのない感情が駆け巡った。





でも、せっかくのデートだ。
今は消極的に考えず、楽しんでみよう。

これまたタイミング良く届いた飲み物に、二人して口をつける。





どうやら俺も今日はテンションが高いらしい。

久しぶりに飲んだシュワシュワという感覚に
思わず心が弾むのが分かった。





「ねぇジェシー、
 ロールケーキも食べていい?」

「もちろん。」





ケーキを頬張りながら話す俺を、ジェシーはたまに飲み物を飲みながら、ほとんど何も言わずに見つめていた。

いつもの書斎でジェシーとは違う、静かで波のない海のような君だった。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (204 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
567人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひじり | 作成日時:2021年4月8日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。