Sanctuary <Jesse×Hokuto> (ページ2)

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あくる日の日曜日。

まだ春にもなっていないのに、
その手は夏を生きていた。

" 花が咲いては、枯れ、
　また咲いて、枯れていく。

打ち上げられた花たちは
　遅れて聞こえる低い音に導かれるように
　その光を消していく＿＿＿ "

カリカリと音がする勢いで、
紙の上でペンが動かされている。

俺には到底理解できない文字の羅列を澄ました顔で書き連ねているのは、先生。なんとかっていう凄い賞を取ってデビューした、所謂売れっ子の小説家らしい。

本人は文豪だと言って聞かないけど。

俺は書斎の大きなデスクの向かい側に勝手に椅子を置き、頬杖をつきながらその様子を眺めている。
視線の先の整った顔は、ほとんど動くことなく文字を追ってた。

どうやら俺に構ってる暇は無いみたい。

デスクの上にはペンと、
散乱した原稿用紙や付箋や本。

普段は整理されているこの場所も、書くと決めた日にはほんの一時間でこの有様で。

"音に終わりはあるのだろうか。
　この音は、＿＿＿＿＿＿ "

その手が止まり、ペンを離した。
どうやらここで休憩らしい。

「先生、お疲れ。」
「うん。」
「なにか飲みます？」
「…、お茶。」
「はーい。」

今日は寒いし、暖かいのにしようと決める。

先生は猫舌だから冷まさないと。

まだ熱いお茶を持っていくと、先生は軽く微笑んでそれを受け取った。