明日，君のいない世界で。 (ページ39)

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目覚ましの音で目が覚めると，空は随分明るかった。

よく眠れた。そんな気がする。

北「…おはよう，ジェシー。」

一人の体温も，一人の空間も，
一度二人を知ってしまえば分からなくなる。

貴方は俺の体温を覚えているんだろうか。

貴方もきっと，一人に耐えているんだろうか。

今日の風はゆっくりで暖かくて。

春が，春としての役割を
全うしようとしているみたいだった。

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仕事に出ても，君のことが浮かぶ。
昨日一日会っていないだけなのに，俺は本当におかしくなったんじゃないだろうか。

これじゃ…，と，ほんの数ヶ月後の自分を想像してみて，やめた。

その後，今日の夜は君と桜を見ようと決めた。

ヴーーッ，ヴーーッ，

鞄から聞こえる規則的なバイブ音。

昨日とはまるで違う。嫌な予感がする。
表記は君のいる病院。

＿＿時刻は午後四時。

＿俺の世界が，終わる音がした。

北「っはい，松村です，」
慎「松村さん，！突然すみません，森本です。」
北「っ，！…ジェシーに何か，！」

上手く声が出てこない。

慎「落ち着いてください。ジェシーさんの容態が危険です。今からこちらへ来れますか？」
北「，っ…分かりました，」

脇目も振らずに走り出していた。

足が震えて，上手く地面が蹴れない。
それでも，君に会いたくて走った。

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病院に着いた時，俺の左足の靴が無くて。
途中で脱げたことにも気付かなかった。

慎「っ，松村さん…！！」
北「，！っジェシーは，！」

フラフラの足とボロボロの体で、森本さんに倒れ込むように問いかける。

支えられた時に感じた人の温度に，どうしてか酷く泣きそうになって。咄嗟にジェシーの感覚を思い出せなくて怖くなる。救いを求めるように森本さんを見つめた。

いつも合う視線が，どうしてか交わらない。

森本さんは，唇を噛んでいた。

北「…ジェシーは，どこに，」

違う。多分聞くべきなのは居場所では無い。

慎「…病室に。…いつもの，ベッドに，。」
北「……，」

でもそれを聞くのはあまりに怖くて。

北「ジェシーは…，あの人は，」

＿＿ " あの人は，今，…生きていますか，？"

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