紅のストッパー 2

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あっという間に試合が始まり、進み、最終回になった。

ブルペンに投手は、俺1人だった。

そしてコーチに名前を呼ばれた。俺と、ライトにA。

Aは先にグラウンドへ出て、少しして俺も後を追った。

「＿ピッチャー、島内に変わりまして、栗林」

リリーフとして何回か出たけど、この回のマウンドは、全く別物に感じる。
2人目までを抑えられたが、次で四球を出してしまった。
今年の惨劇が、自然と頭に過ぎる。

『…』

バッターが変わる時、タイムを取られた。カープからだった。
気づいたら、ライトからAが小走りでマウンドに来た。内野の皆が囲む。

『なにアガってん』
20「ごめん」
『…飛んできたら絶対取る。絶対負けさせん。思いっ切り投げていい。大丈夫。』
20「うん、ありがとう」

守備位置に全員が着く。

嫌なこと全部飲み干して

任された場をただただやり遂げて

グローブの底見つめ

ふがいなさの白球を落として

この感情も、とにかく全部飲み干して

いつかは全部吐き出して

それで笑ってまたあいつの隣にいたいから


20「！！」

白球が、放物線を描いて上がる。

高く、

彼女の方向へ。

20「(あ)」


審判の声が響いた。

皆とハイタッチして、ベンチに戻らずにマウンドで待っていた。
ボールをグローブに収め小走りで来る。

笑って、思い切り手を叩き合わせた。

『あぶない』
20「ごめん(笑)」

ウイニングボールを手渡され、2人で並んで帰る。
笑い声の中でボソリと呟いたAの言葉に、頬の緩まりが抑えられなかった。




『…おかえり』

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