紅のストッパー

アザラシとウナギイヌ ページ10

Aside

『ターマーちゃーん』
65「…アザラシの呼び方してますよね」
『んふふ』

同期入団の福井男子･玉村くん。我らが今日の先発。

『負けれんねぇ今日は』
65「、はい！」

4月16日、本日はタマちゃんの誕生日。

65「でも今日も(･)、ですよ」
『うわ、言うやん…』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『…んん』

正直言うと、タマちゃんは１回表の時点で5失点。燃えとる。

4回裏でマックの犠牲フライで1点を返したが、雨が強まり5回までやって中断になってしまった。

一応試合は成立しているので、試合終了の可能性があるが、土にシートが被せてあるし、まだ再開の見込みがある。なにより負けてる側(こっち)としてはそれでいいわけない。

しばらくして雨の様子を覗き見ていると、交代したタマちゃんがベンチ裏へ降りてきた。
明らかに暗い顔で申し訳なさが滲み出ている。

『タマちゃん、』
65「はい…」
『今日私やんな？』
65「え？」

ポカンとした顔で私を見下げるタマちゃん。うん可愛い。

『今日の抑え、私やろ？』

「あれ見てみ」と、タマちゃんと一緒にグラウンドに目を移すと、雨が上がり、煌めく天然芝。
そしてそこにはストレッチをしているウナギイ…秋山さん。あの人も本日誕生日。

『ハッピバースデー言うて歌われてたし、安打製造機がこのまま終われへんやろ』
65「…見ときます、Aさん」
『うん、締めるわ(笑)』





そして試合再開後、ついにその1打が出た。

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