紅のストッパー

対 ページ8

坂本side

今年の7戦目、自分はベンチスタート。思うように打てず、その度に受けるヤジにイライラと不甲斐なさが募る。

マツダスタジアムの廊下を歩いていると、前を横切ろうとした1人が立ち止まった。

色は違うけど胸には自分と同じ6番。Aや。

G6「おぉ、久しぶりやん」

あれ、俺こいつと、どんな風に話してたっけ。

必死に頭をフル回転させている間に、Aは怒ったような、切ないような、複雑な顔をして俺を見ていた。
するとおもむろに、パン、と両手で俺の顔を挟んできた。

『坂本さん私ね、今年で4年目なんですけど、今までの失点6点なんです』

なんやそれ。バケモンやないか。
突然された話だが、意外と耳には入ってくる。

『そのうちの3点、アンタにやられたやつです』

え、俺そんなこのバケモンから打ってた？
困惑している俺を他所に、でも、と続ける。

『私は、こんな顔したやつに3点も打たれた覚えありません』
G6「ッ…」

自分がどれだけ情けない顔をしているのか、そこで気づいた。


そやねん。いつまでもこんなんでおったあかん。分かってんねん。でも、それでも…


『…まぁ、半分建前なんですけどね』

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