紅のストッパー (ページ37)

今日:80 hit、昨日:26 hit、合計:82,191 hit

左ページ37

Aside

ヤクルト戦。8回裏。今日は珍しく9回以外の登板。
バッターはてっとさん。ゾーンギリギリを狙ってストレートを投げ込む。

バットの先に当たり、真っ直ぐ目の前に向かってくる。

『ッ＿＿』

左目の前でグローブが間に合う。

深呼吸をしながら一塁に送球した。

『(左…)』

なっさけなぁ…。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Ys1「A！」

試合後、てっとさんが慌てた様子で駆けて来た。

Ys1「今日、ほんまごめん。目何も無い？当たってへん？」

心配そうに左目の瞼を親指で撫でる。

『はい。セーフでした』
Ys1「ほんま？」
『ほんまです。どしたんですか、えらい心配しますね(笑)』

勝った側とは思えないような表情に、笑いながら聞く。

Ys1「いや、やってA見たことない顔しとったから…」
『…キャッチ遅れたんで、びっくりしただけですよ』
Ys1「ん…」
『大丈夫ですって、そんな顔しとると"寂しがり屋"って言いふらしますよ』
Ys1「やめてや(笑)」

やっとてっとさんの笑顔が見えると、野間さんが前から慌ててやってきた。

37「あー！哲人お前っ何Aとイチャイチャしてんねん！」
Ys1「ええやんこんぐらい」
37「ええことない！頭撫でる許可も降りてへんぞ！」

『…』

ある日のことがふわりと脳内に浮かび上がる。

交流戦、ロッテ戦かな。

客席に会釈してふと周りを見た時、ホームベースよりの席に目が止まった。

明るく長い髪に帽子を被せて、驚愕がこびり付いた目をした若い女性。

隣の人は彼氏？趣味変わっとらんね。

『(あとでね)』

一瞬やったけど分かったかな。まぁ大丈夫か

球場を出て辺りを見渡すと、あの女性がいた。

『久しぶり』
「……なんで分かったの」

地にへばりつくような目線を向けて、私に言う。
その質問に思わず吹き出す。

『分かるよ(笑)』

細めた目をまた開く。

『妹やもん』

まぁ長くなるけど、