紅のストッパー

飲み込みの良いやつは嫌いだよ ページ31

Aside

『64万票の秋山さん』
9「変な呼び方しないでよ」

オールスターゲームの出場会見。
ファン投票選出の選手が決定したが、私と秋山さんのカープ2人以外全員阪神。過去最多らしい。

9「A2位と結構差付けたよね」
『29万票とかやないですか？』
9「エグッ」

会見が始まり、まずは秋山さんから話し始める。

9「野手で1人だけ赤いユニフォームなので、"ウォーリーを探せ"状態ですね」

会場がちょっと和んだあとに、私への質問へ。

『ウォーリーです』

開口1番のその言葉に、記者さん達が笑っている。
チラッと横目で見た秋山さんも笑ってた。やったね。

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『お』

会見のあと、マツダスタジアムにてアップを始めようとすると、スタンドに母校の小学校の修学旅行生が。

「あ！橘谷せんしゅーー！！」
「ちがうよ、とうしゅやって！」

うんうんええのよ。知っとるだけでも嬉しいのよ。
フェンスに登ると、可愛らしく楽しそうな悲鳴が上がる。

『こんにちは』
「「こんにちはー！」」
『何組？』
「松！」
『お、私とおんなじ』

可能性の塊たちに癒されたあと、癒しとは程遠いような男が後ろからやって来た。

18「A〜」
『ん？』
18「バッティング教えてよ」

ほら、癒しやない。
顔とかはな、分かるよ。多少は。でもかき消すくらいクソガキやけんなお前。

『…あんま教えれんで』
18「いいよ、出来る範囲で」

一応男女で身体の構造は違うので、使い方も違ってくる。特に私は。
それもあって教えるのは得意じゃない。私コピーのバッティングやし。

打席で思ってることか。狙い目の球とか。言えるとこは言って、あとは彼自身に任せた。

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