紅のストッパー

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渋々といったギータさんにやっと返してもらえた。

ふと上に目線を上げたギータさんが今度は笑顔を見せた。

Sh9「キッレイやなー」

自分も覗き込むと、カープファン達が集まっていく客席。

見る間に赤く染まっていく。

その下には赤い波に囲まれたマウンド。

あの頃の若い眼には、どう写っていただろう。

自分が居たはずの波に、信じられないほどのブーイングを浴びせられることも、知らない若い眼に。

Sh9「なんや嫌いなん？」
『え？』
Sh9「客席。そんな顔しとったけぇ」

不思議そうに私の顔を覗き込む。
この人たまに鋭いから油断出来ない。きっと共感者は多い。

『…好きですよ。大好きです』

嘘やない。ヒット打たれたとき、代打出るとき、初登板のとき。一緒に熱くなって力をくれたのはこの波やった。

Sh9「ほーか」

ニカッと笑ってベンチのフェンスに腰掛ける。口角は嬉しそうに上がっている。



『……ベンチ戻らないんですか』
Sh9「いやー帰りたない」
『帰ってください』
Sh9「え！？なんでなん！」

駄々こね始めたギータさんを無視してストレッチに戻った。

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WBCのときの周東選手の背番号9、あれ辞退した柳田選手の背番号ですね！控え目に言って感動でした…

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