紅のストッパー

もし、 ページ14

栗林side

昨日サヨナラホームランを許し、自身最多の負けがついてしまった。というか、俺を信じて送り出してくれた首脳陣に申し訳ない。

そして自然と脳裏に浮かぶのは、一緒にクローザーとして起用されてきたAのこと。

「広島の2大守護神」なんて言われて、正直嬉しかった。

でも、これじゃ対等とは言えない。というか、

今まであいつが調子悪かった時なんてあったか？

フォアボール与えたことは？

そもそも負けたことは？

考えてみると、俺とAは割と始めの方から選手として距離が空いていたのかもしれない。

2年目のジンクスの通りにもならなかった。「3年目の壁」だって、2人なら乗り越えられると思ってた。


『6敗は、キツイなぁ』
20「ッ、A…」

後ろから聞こえた声。振り返るけど、すぐに俯く。

『私らの負けは、チームの負けや。同点でも、前の投手の勝ちは無くなる。じゃけんプレッシャーかかる言われとるし、強心臓やないとあかんねん』

そう。だから、俺がこんなんじゃいけない。チームにも散々迷惑かけて…

『…お前さ、何のために2人おる思てんねん』
20「！」

…そうだ。忘れてた。

『こうやって、片方が倒れても、もう片方がチームの9回守れるように、やったやろ？』


ストッパーの2人起用を佐々岡さんから言われたときを思い出す。

あれ？

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