シンデレラ (桃青)

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改めて自己紹介をすると、
彼は前髪で隠れた目を少し覗かせる。






流星「……藤井流星、です、24歳」






望「……ぁ、結構、年上、」






同い年くらいと思っとったから
なんか恥ずかしくて、ふふって笑うと
彼は少し口角を上げた。






望「……これ、着てください」





流星「……いや、でも、」





望「……汚れてもうてるから、」






普段からこうなんかわからへんけど、
熱のせいでなんとなくボーッとしとるから
汚れとったTシャツだけ俺のと交換する。






流星「……ぁの、ありがとうございます、


おれ、もう帰ります、


服は、洗って返すので、っ」






望「……え、でも、」






流星「ほんまに、ごめんなさい、っ」






望「……っ、待って、」







せめてこれだけ、って、
こないだの1万円札を返すと、
要りませんって俺に押し返す彼。






流星「……っ今日やってお世話になったし、


要りません、っ貰ってください、」







望「……っ、いや、貰えませんっ、」






流星「ええから、っお願い、っ」






望「……っあの、じゃあ、」






1万円札を素直に受け取って、
流星さん、って呼ぶと、彼はゆっくりと
顔を上げる。







望「……連絡先、聞いてもいいですか、」






流星「……ぁ、、ぅん、」






不安そうな顔をする彼は小さく頷いてくれて
俺の連絡先に「 流星 」って名前と
シンプルなアイコンが加わった。






望「……また、連絡します、」






流星「……うん、」






俺がにこりと笑いかけると、
流星さんは、少しだけ安心した顔をする。






じゃあ、ってぺこりと頭を下げた
彼から、ふわりとこないだと同じ
バニラの香りがした。

ep.4 不安→←.

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