第26話 ページ26
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「日本家屋すげー……」
思わず出た感想を呟きながら、轟くんの家の中にお邪魔する。
見た目からしても広いが、中に入るとさらに広いことが分かる。
廊下がどこまでも繋がっていて、終わりが見えない。
けれど、広い割には怖いくらいに静まり返っていた。
先ほどよりも熱が上がった轟くんを支えながら、轟くんの部屋まで案内してもらう。
シンプルで、これといって特徴はないけれど、畳の匂いがなんだか落ち着いた。
布団を敷いて、轟くんをそこに寝かすと、悪ぃ、と小さく謝罪が聞こえた。
「謝らなくていいよ。…元々、こうなったの私が原因だし」
だから、こっちこそごめんね。
そう小さく謝ると、轟くんは黙ったまま私を見つめた。
「……て、いうか、その…お家の人、何処にいるかな？勝手に上がっちゃったし、ちゃんと話しておかないと、」
「いねぇ」
「え？」
なんだかいたたまれない空気になり、早口で喋った私の言葉を轟くんが遮った。
「今日は、多分誰も帰ってこねぇ」
その返答に、轟くんを見つめながら私は呆けた。
と、いうことは
今、ここに居るのは轟くんと私の二人だけなわけで。
轟くんを看病できる人は、今私だけしかいないわけで…。
「……A、俺のことは気にしなくていい。送れないのは申し訳ねぇけど、今日はもう帰っていいぞ」
「…………」
「……A？」
どこまでも私を気遣ってくれるような言葉に、何処までこの人は優しいんだろうかと思った。
とても広いこの家で、ただ一人だけポツリと布団にくるまる小さな男の子の姿が頭に浮かんだ。
いつもこうして彼はひとりでいたのだろうか。
寂しいとも悲しいとも言えずに、彼は生きてきたのだろうか。
私の勝手な妄想に過ぎないけれど、そんなことを考えると胸が締め付けられて、泣きそうになった。
無意識に近い感覚で、私は彼の頭を撫でた。
どうしようもなく、彼の傍にいたいと思った。
「今日、泊めさせてもらってもいいかな？」
「…………は、」
結論を口に出すと、轟くんの目が点になった。
迷惑とか気遣いとか、この際もうどうでもいい。
ただ、彼をこのままひとりにしたくないと、そう思った。
「や、ていうか泊まる！とりあえず轟くん体拭こっか！このままじゃ悪化する」
「待て、A…！」
「轟くん」
早まる私を落ち着かせようと思ったのか、轟くんが起き上がろうとする。
そんな轟くんの目を見て、私は笑った。
「今日は私に甘えていいから」
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なっつ(プロフ) - めっちゃハマりました〜！何回も読み直してます！続き待ってますね★ (2019年7月12日 8時) (
レス) id: 891cb8f982 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 轟君がピュアで可愛すぎる…！いいですね、ピュアろき君！更新楽しみにしてます！ (2019年7月3日 22時) (レス) id: 59138960e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨夜なつ | 作成日時：2019年5月24日 20時
