第22話 ページ22
「濡れてるぞ」
そう言って彼は私の目線に合わせるようにしてしゃがみこむ。
あなたも濡れてますけど、と多少濡れている彼の髪を見つめたが、私よりは濡れていない。
どうやら個性で水を蒸発しているらしい。
左手で私の方に触れて、私のことも温めようとしてくれている。
有難いけれど、ありがとうと言える気分ではない。
本当に私ってダメだな…。
「……なんでここにいるの」
「…来てくれたんじゃないのか？」
質問に質問で返され、どういうことだと思って辺りを見渡した。
すると、すぐ近くに小さな公園があり、木でできた柱には“つくし公園”と書かれている。
まじか、私すごいな。
知らない道へ来たはずなのに、それがたまたま轟くんが私を待ってくれていた所だったなんて。
と、自分で自分に驚いた。
「…もうこんな時間だよ。雨も降ってるし」
それよりも驚いたのは、こんな時間まで待っていた轟くんにだ。
遊園地を出た時は3時頃だったから、大きく見積もってあれから1時間は経っているだろう。
「俺も…何度もそう思った。Aが来ない確率の方が高いのにな」
轟くんは左手で私を暖めながら、自分にも言い聞かせるような口調で静かにそう言った。
それから顔を上げて、そのオッドアイの綺麗な瞳と目が合う。
なんだか、彼の目を見たのはとても久しぶりな気がした。
それから、彼のそのきらきらした目が優しく細められて、口元が緩く弧を描く。
「でも、待っててよかった」
彼が、触れたところから、私をどんどんと暖めていく。
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なっつ(プロフ) - めっちゃハマりました〜！何回も読み直してます！続き待ってますね★ (2019年7月12日 8時) (
レス) id: 891cb8f982 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 轟君がピュアで可愛すぎる…！いいですね、ピュアろき君！更新楽しみにしてます！ (2019年7月3日 22時) (レス) id: 59138960e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨夜なつ | 作成日時：2019年5月24日 20時
