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ドイツ軍は既存の商業用エニグマ暗号機を電化することで小型化、携帯用の小型暗号機の開発に成功。もともと商業用エニグマ暗号機は、三個の回転式円筒を使って百万通り以上の換字システムを実現できる。ドイツ軍はこれに取り外しが可能なドラムを追加し暗号機内部の配線を容易に変更できるように改良。暗号のコンビネーションは天文学的な組み合わせが可能その数は一説によれば二百兆通り以上とも言われる。


 モーガン氏の説明に口笛を吹く「じゃあ、ドイツ軍の暗文は解読不可能になったわけだ」そんな内海とは裏腹にモーガン氏の表情は暗いままだ。「はたして、そうでしょうか。私は絶対なんて無いと思ってますよ。人間が作るものである以上、理論上必ず読解可能になっている」内容が判明している文とそれと同じエニグマ暗号文を照合する。具体的にエニグマ暗号変換の仕組みを読解する為に必要な三文字コードが得られる。それが出来れば読解は可能になるという訳だ。内海は感心しながら話を聞く。


 「要するに、ドイツの無敵を謳われているエニグマ暗号もクロスワードパズルと同じだとおっしゃるのですか」まさに、と相槌を打つモーガン氏。「モーガンさん、あなたはとても賢いどんな複雑な暗号もあなたにとっては形無しだ。あなたの様な人を敵には回したくないですね。これ以上、両国の関係が悪化しないのを願います」


 「おお、内海さん。それに関しては同意見です。先日、日米間の通商条約が失効したことは残念の極みである」と言うモーガン氏。「おや、何がおかしいのです」アメリカと日本の外交関係に言及するモーガン氏に内海が思わず苦笑する。「失礼、私は何もそんなことを言っているのでは無いのですよ」内海はテーブルの上の新聞を取り上げて器用に丸めながら目を伏せる。「私が言っているのは日英関係のほうでしてね。英国人であるはずのあなたがアメリカ人を装偽のパスポートで日本に入国されては困るのですよ」「日英関係。偽のパスポート」モーガン氏は意味が分からないと言う様に目を瞬きをし甘利に聞き返す。


 「私はアメリカ人です。あなたは何かひどい勘違いをしている。英国とはなんの関係も」「やめましょう。モーガンさん、いえ。ルイス・マクラウドさん」そして陽気な笑みで甘利は言った。「それとも、教授〈ザ・プロフ〉とお呼びした方がよろしいでしょうか」

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作者名:カナリアナ | 作成日時:2019年3月28日 23時

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