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45枚目 ページ44

「......許可しよう」安堵の息が漏れぬようにAは顔を引き締める。「ただし、貴様らには条件を飲んでもらう。
」一、エマの教育は機関生九人が行う事。二、決して身分を明かさず、悟らせるな。三、いつでも切り捨てられる様にしておけ。


 ズキリ、と痛んだ心臓を無視して二つ返事をする。たくさんお勉強しようね、と笑いかけ結城中佐の書斎を後にする。食堂に戻るが先ほどまで残されていた四人の姿はもう無く、それぞれが教えることを割り振り、教材を集めに行った様だった。私は何を教えようか、と頭を悩ますがやはりこの子にはどこに行っても苦労しない様に淑女としてのある程度のマナーや作法をできる範囲で教えていきたい。


 日本に限らず、母国であるイギリスや西洋の礼儀覚えておいてこの子には損は無いだろう。エマにとって外国に値する日本で暮らすのだ、少なからず見た目による選別は受けるだろう。避けれる苦労は避けておいていいだろう。


 各々が何を教えるのかは任せるとしてエマにはここで生活する為の物が無い。服を買いに行こうとエマを連れ出す。子供服を選ぶ経験は初めてで、数着もあれば着まわせると思い外出用の服と部屋着として着れそうな服、靴を買って帰る。長旅に疲れエマは歩くのがやっとだ。抱っこをしてやり荷物とエマで両手は塞がってしまった。そのため後ろからついてくる足音から逃げきれない事はないが外国の子供と荷物を抱えた女が全力疾走していると噂でもされたら目立つことこの上なく即、結城中佐から御達しが来て個別訓練をつけてもらうことになりそうだ。それは避けたいだが、後ろの人物からは逃げなければならない。早足に歩く、しかし後ろか伸びてきた手に肩を引かれる。


 なるべく相手との距離をとる様に振り返る。「驚かせましたか」実井が両手を上げて武器を持ってないことをアピールている。私も実井に対して警戒を解き、私よりも身軽に見える実井に購入した荷物を預ける。エマをしっかりと抱き直し大東亜文化協曾までの道のりを歩く。「結構な執着ぶりですね、どうするんですか?その子」この手の話題に突っ込んでくることがお好きなようだ。「結城中佐が何か判断を下すまでは育てるわ」当たり障りない答えだろう。「そうですか、しかし僕はその子の心配より貴女の方がよっぽど気がかりです」意味が分からないと言う風に実井に視線を向ける。

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作者名:カナリアナ | 作成日時:2019年3月28日 23時

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