48枚目 源氏物語 ページ48
特に暇だったわけでは無いがとてつもなく長い、しかし終わりが見えないほどでも無い物語を読みたくなった。そんな時に源氏物語は最適だ。内容が知れたそれは深く考えなくても頭に入る。文学を研究する者たちの功績で正解と言われる解釈だって存在する。時間の許すまま読み耽っていると自室の扉が叩かれた。意識が現実世界に戻り目の前の男を認識する。「読書中でしたか。すみません」にこやかにそう言う彼に気にしないでと伝える。
彼が私の手元を見て、源氏物語の話に花が咲く。そこから話は派生していき互いの読書観について話していた。これは私の性分なのだが、ある事柄には続きがあり尚且つ事柄が完結していることが好きだ。源氏物語もそうだ。巻数は多いが完結している。感覚の話だ。読み物の完成とは、ある適当な大きさで中が透けて見える球体を用意し、球体の中にいくつもの要素を入れていく。要素で満たされた球体を他人に手渡していくと、もらった誰かは作った誰かとは違う角度で上下も左右も存在しない球体を見ることになる。
中の要素は回転し、かき混ぜられて次の手に渡る頃には万華鏡のように姿を変えているかもしれないし貰い手がわざとかき混ぜて中を覗くのかもしれない。その完成に手を加えて脚色することは球体の表面に凹凸をつけて要素を誇張したりすることだと思う。別の要素をくっつけることも可能だが読み物の完成形は球体なので何か付属物をくっつけることで形が崩れてしまうこともある。もちろん球体の表面積を模った薄い膜で覆う様に上手く馴染むこともある。完成形に付随させることで球体に磨きがかかることもあれば、無駄な一手で批判を招くこともある。
球体を完成させた一人目、もしくは複数人が要素を最小限まで削り選りすぐりの選択を球体の中に入れる。もしくは言い回しを変えて語彙の多さで要素を華やかにすることも考えられる。また、他の要素を平凡にし球体の完成させる者が際立たせたい要素のみを強くすることだってあり得る。私は自分でも思うが、球体に入れるなら要素をくどくする方が好きだ。削れる要素をわざと付け加えて量を増やしていく。単純なものをややこしくするのが好きだ。赤と済ませば良いものを紅なんて表現する様子は側から見れば滑稽だろう。べらべらと話して我に帰った。ついうっかり目の前の人物に会話の主導権を与える間もなく話し続けてしまった。
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カナリアナ(プロフ) - エルモさん:仲間ですね！！自己満足になってしまうんですが、小説も頑張っていこうと思います。読んでくれてありがとうございます！！ (2019年12月9日 21時) (
レス) id: ddfa994d58 (このIDを非表示/違反報告)
エルモ - ジョカゲ好きです！！ (2019年12月9日 20時) (レス) id: 9cee2cc714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアナ | 作成日時：2018年12月12日 21時
