43枚目 ベルリンの壁 ページ43
今までの忙しさが嘘のように時の流れはゆっくりと穏やかな日々をもたらした。冬の季節から翌年の春までは機関生も各々の好きなように過ごし、結城中佐も次の世代育成に着手し始めたなんて噂だ。私にも束の間の休息が与えらた気でいたが、専らそんなことなどあり得ない話だった。いつものように食堂で珈琲を淹れていると、結城中佐が現れた。「それを飲み干してからで良い。書斎に来い」そう言われたのは良いものの、熱いものを熱いものとして味わう暇もなく胃へ流し込んで急いで結城中佐の書斎へ向かった。
「急ぐ必要は無いと伝えたはずだが」内心、地獄からの使いを待たせたまま優雅に飲んでいられるほど図太くないと思いながら「お心遣いありがとうございます」と伝える。 ひらりと机上に出された用紙を確認して溜息をつきたくなるのを我慢する。次の行先は上海だと確認して、使うことは無いだろうと高を括って片付けたトランクを引っ張り出す決意を固めた。
気持ち長い船旅を経て、Aは独特の香辛料の香りが漂う上海の地に降り立つ。目的だったダンスホールを訪れる。Aが訪れたのは一見すると流行りのダンスホールだが扉を通じた向こう側は煌びやかな違法賭場。飲み物を運んで来てくれるのは女ものの衣装をまとった少年たち。そこでは異様な風景が繰り広げられる。今回、私がここに来たのもその賭場が目的だ。どうやらその賭場への入室には特殊な硬貨が必要らしく。その調達に駆り出されたわけだ。合計で二枚も必要らしく硬貨の調達も彼らの仕事の内ではないのかと言いたくなる。
金を持ってそうな男のターゲットを複数に絞った。ダンスホールで酒を飲みながら踊り、金持ちの遊びに興じる。男が気をよくした隙に「ここよりももっと素敵な場所があるって聞いたんだけど」と話を持ちかける。そんなやり取りを数回行えば賭場への通行手段や勝手が分かり始める。表の賭場に入れば、いつも決まって同じテーブルに座り連れのターゲットが賭博をしている間、手持ち無沙汰な様子を見せて場内を歩き回っている。すると狙い通り顔見知りになりつつあるディーラーの方から裏の通行許可の硬貨を渡された。お目当ての硬貨が一枚、手に入って仕舞えばもう一枚を偽装することなど容易いが。仮に彼らの任務中に偽装がバレると最悪の事態になりかねないため念には念をでもう一枚手に入れる事にした。
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カナリアナ(プロフ) - エルモさん:仲間ですね！！自己満足になってしまうんですが、小説も頑張っていこうと思います。読んでくれてありがとうございます！！ (2019年12月9日 21時) (
レス) id: ddfa994d58 (このIDを非表示/違反報告)
エルモ - ジョカゲ好きです！！ (2019年12月9日 20時) (レス) id: 9cee2cc714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアナ | 作成日時：2018年12月12日 21時
