27枚目 ページ27
あじあ号の最高速度は一一〇キロメートルで新京と大連間の七〇四.ーキロメートルを八時間二〇分で走る。「本当、凄い詳しいね」褒めてあげると分かりやすいくらい照れていた。それに、あじあの前の満鉄はとは東京と神戸の間を走る東海道本線特別急行つばめより少しだけ遅かったそうだ。「確かに鳥も鳩より燕は速いもんね」相槌を打ちながら聞きいる。「流線形だからだよね」途中で口を割って入って弟くんが話なす。渦中の兄の方は自分の得意分野の知識披露を弟に横取りされて頬を膨らましている。
「本当によく知っているね。僕たちはどこで降りるの」田崎の質問に笑顔で答える兄弟。「大連だよ、つまんないから探検してたの」にこにこした表情で「じゃあ、おじさんからナゾナゾだ」田崎が子供たちに付き合ってナゾナゾを出した。奉天駅で降りて手紙を大連に届ける時にあじあより早く届ける方法は。少し考えて降参だという子供たちに田崎はミッションを与えた。
七月二十五日より前の日付けの新聞を読んでいる人を見つけて、足元にタロットカードを置いて来い。とナゾナゾの答えとミッションを引き換えに教えてあげるそうだ。「本当にできると思う」田崎に真意を問うと。「やってもらわなきゃ、困るさ」なんて言うのでドリンクのメニューを見ながらふうんと答えておいた。
ワインを頼み飲んでいると、しばらくして子供たちが走って帰ってきた。結果は、男は三号車にいて裏地が黒い白色のジャケット。黒いズボンを履いていたそうだ。「凄いね、何かジュース飲む」とメニューを子供たちに差し出した。田崎の顔を見ると良いとこ取りと、さっきの弟に見せ場を取られた兄の表情によく似ていた。Aからメニューを受け取り子供が振り返って田崎を見ると運悪くメニューにグラスが当たりテーブルクロスに赤い染みが広がった。「ごめんなさい」と泣きそうな顔で謝る男の子。
アルコール特有の香りが二人の鼻を掠めた。子供たちの泣きそうな声を聞き、騒ぎに気づいた母親が子供を叱りながら謝ってきた。お気になさらずにと声をかけてAが田崎の時計をチラリと見ると奉天駅まで二十分を切っていた。ここまで順調。そろそろターゲットも動き出す頃合いだと踏んで、田崎の離席を促した。「あなた、袖口についてしまったワインをお手洗いで落としてきたら」なんて言って田崎に離席を促す。
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カナリアナ(プロフ) - エルモさん:仲間ですね！！自己満足になってしまうんですが、小説も頑張っていこうと思います。読んでくれてありがとうございます！！ (2019年12月9日 21時) (
レス) id: ddfa994d58 (このIDを非表示/違反報告)
エルモ - ジョカゲ好きです！！ (2019年12月9日 20時) (レス) id: 9cee2cc714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアナ | 作成日時：2018年12月12日 21時
