26枚目 アジアンエクスプレス ページ26
協力者アントン・モロゾフから接触したいと言う要望があり、私は田崎と一緒に超特急あじあに乗っている。モロゾフ氏は踊り子のエレーナに半年前から骨抜きだという。エレーナ自身がモロゾフにぞっこんかは別としてだ。この列車に揺られ私がすることと言っても、新婚夫婦が仲良くお出かけしているように見せるためだけの人員。実際のところ接触するのは田崎なので、ゆっくりとこの旅を楽しみたいと思っている。
「暇だなぁ、ねぇ何かしようよ」声が聞こえる。「何かって」向こうの席の小さな男の子が暇を持て余したようで、騒いで母親に怒られている。その時、田崎はモロゾフ氏が席を移動したため密会場所に移動した。「洋子、俺はお手洗いに席を外すがいいか」それに頷く。「ええ、大丈夫よ礼二さん」しばらくして田崎は席へ戻ってきた。「モロゾフが殺された」声を低くして伝えられた内容に驚いた。
「これが、胸に」田崎が差し出したカードは、吊るされた男。つまりキリストを裏切って反逆者ユダ。スパイ殺しを目的とした諜報機関、ソ連を裏切ったモロゾフ氏を暗殺していく連中。モロゾフ氏の持つ新聞を手に入れ暗殺者はきっと次の奉天で降りる。時間にしてあと一時間と少し。タイミングとしては遅効性の毒などでは無く、犯人はモロゾフ氏と直接会っているはずだ。殺されるのを恐れているモロゾフ氏が誰でも無防備に背中を見せるのはまずない。何か警戒が解けた状況であるか。もしくは、疑わない容姿であったか。
隣で田崎はカードで遊んでいる。すると先ほどの男の子が寄ってきた。「ねえ、おじさんは手品師なの」興味深々に聞く姿がかわいい。「いや、趣味でやっているものさ」田崎が返すと「うちの兄ちゃんすごいんだよ。あじあ号の事ならなんでも知ってるんだよ」と自慢げに発言する。自分のことでは無いのにどうしてこんなにも誇らしく、自信満々に言うことができるのかAにはイマイチ理解ができなかったが、男の子は自分を褒めてとでも言うように笑顔でいる。
兄ちゃんと呼ばれた子が恥ずかしがりながら「うちのお父さんが満鉄に勤めてるから他の子よりちょっと詳しいだけだよ」と答えている。「そうなんだ、凄いね。私にも教えてくれる」そう聞くと、良いよと嬉しそうに教えてくれた。田崎が子供を相手してことから何か策があっての事だろうと考える。ならば任せようと思い田崎に乗った。
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カナリアナ(プロフ) - エルモさん:仲間ですね！！自己満足になってしまうんですが、小説も頑張っていこうと思います。読んでくれてありがとうございます！！ (2019年12月9日 21時) (
レス) id: ddfa994d58 (このIDを非表示/違反報告)
エルモ - ジョカゲ好きです！！ (2019年12月9日 20時) (レス) id: 9cee2cc714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアナ | 作成日時：2018年12月12日 21時
