君の中のおれ (ページ2)

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君は誰？ページ2

田中「誰？」

？？？「あっ、名乗ってもいないのに急だったよね！？」

？？？「私はね、藤田彩香って言うのかな？」

田中「言うのかな？」

藤田「そう。自分でも分からないんだ…私このとおり幽霊でしょ？」

田中「まっまあ…そうだね…」

彼女の急な言葉にどう返していいのか分からなかった。

田中『そういうのって、自分で言うものなんかな…私幽霊なんですって…』

藤田「あっ！その様子じゃ信じてないね！？」

そう言って彼女は空中に浮いて見せた。

田中「あっ！本当なんだ…」

藤田「分かってもらえた？」

田中「うん…信じるよ。」

藤田「怖がらずに信じてくれたのは、君が初めてだよ。」

少し寂しそうな顔をして彼女は言った。

田中「あっ！それでなんで…言うのかなって言うの？」

そんな顔を見てられず、咄嗟に話を変えた。

藤田「私ね。死んだ前の記憶がほとんど無いんだー。」

田中「えっ？」

藤田「なんか自分の意識が戻った時には死んでた。」

田中『そんなあっさり言うものなのか？』

田中「それで？」

藤田「何となく目の前にいるのは自分なんかなんて思って…」

藤田「それで周りの人が口を揃えて、"彩香"って言ってたから…それが自分の名前何だって…」

田中「それで藤田さんは、俺の前に現れたの？」

それが第一に疑問だった。
何故今俺の目の前にいるのか…

藤田「うーん…一番の理由は君の前で言うのが恥ずかしいからな…」

彼女は少し困った顔で言った。

田中「…恥ずかしい？」

藤田「うん。とっても。だけど、ただ気まぐれに君の前に現れたわけじゃないから。」

田中「そっかー」

俺は素っ気なく返す。
本当はすごく気になるが、あまり詮索しすぎるのも悪い気がした。

藤田「でもいつか絶対言うから。」

淀みのない澄んだ瞳が嘘じゃないことを告げた。

その理由を俺は絶対聞かなきゃいけない感じがした。なら…それなら…

田中「明日も来ていいかな？」

仲良くなりたい。どこかにその気持ちがあったのか無かったのか…

藤田「いいよ！明日もここでね！」

彼女の笑顔が夕日に輝いていた。