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yabu

俺が「ＨＳＪ」にはいるのを決めたのは15の時だ。
俺はもともと大企業の御曹司で、なんの不自由もない生活を送っていた。
決められた将来決められた人生。鎖で体を家に繋がれ、鎖で心を親に繋がれた。
自分の意志なんかこの家では通用しない。生きながらの死だ。両親が逮捕されたのはそんな時だった。

自由になったと思った。
自由に生きてやると思った。

けど、俺の両親がしたことを聞いたとき、気が変わった。
そうだ。どうせこのまま自由になろうとしても、親戚に引き取られてまた同じ生活に戻るだけだ。
腐っても鯛。親父の顔を使って、政府のお偉いさんに掛け合って、親父が「Ｓ」という謎の組織とつながってることも、政府が対「Ｓ」のために秘密組織を立ち上げようとしていることも聞いた。俺はその組織に入るためにＨＳＪの練習生になった。

伊野尾と光と出会ったのはそんな時だった。

――――――――

光「起きろおおおおおおおおおおおおお！！！」

朝、光の声で目が覚める。いつも通り朝。

宏太「んん…、あーーねむ」

伸びをした後、ぼーっとする頭をかきむしって、伊野尾を起こしに行く。
伊野尾はいつも頭まで布団をかぶって離さないから、起こすのにいつも十分はかかる。
薮のケチって言いつつも、なんだかんだ起きてくれる。
下に降りるとみそ汁のにおいと光が待ってって、遅いって怒られる。
朝食を食べ終わると、光がコーヒーとトマトを持ってくる。
コーヒーは俺、トマトは伊野尾。
それで、光はいつもトマトを食べる伊野尾を見て、薮も見習え、って言うんだ。伊野尾だってほうれん草食えないのにひどいもんだ(笑)。
光は伊野尾に甘い。まあ、俺もだけど…。
これが俺たちの朝。

寝るとき、俺と光は伊野尾が寝るまで絶対寝ない、というより寝れないのほうが正しいのかな？
伊野尾におやすみって言って、伊野尾もおやすみって言って伊野尾が寝る。
光におやすみって言って、光もおやすみって言って同時に寝る。
これが俺たちの日常。俺はこの日常が壊されるのが怖い。

2人が居なくなるのが怖くてたまらないんだ。