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隻眼と恋人と妹【1】 ページ2

「行こっお姉ちゃん‼お兄ちゃんも早くー‼」
「ふふっ…慌てないで合歓。カフェも服も逃げやしないよ」

四季神組との一件から数日、俺とAで休みをもぎ取り、ようやく合歓と出かけることが出来た。

満面の笑顔を浮かべはしゃぐ妹と、そんな妹を愛おしげに見つめる恋人。
これ以上ない光景に、幸福感で心が満たされていく。

「お兄ちゃん?」
「左馬刻?どうかしたのか?」

ルビーと黒曜石を思わせる瞳が俺を見上げる。
久々に会うからと身なりに気合いが入っているからか、二人ともいつもよりも格段に可愛い。勿論いつだって可愛いが、今日は別格だ。

「何でもねぇ…で?どこ行くんだ?」

これ以上ない最高の光景に、思わず口元が緩みそうになる。誤魔化す様に口元に手をやりながら合歓に問いかけた。

「新しいワンピースが欲しいの!お姉ちゃんに選んでほしくて」
「あぁ、もちろん」

どうやら最初の行先は服屋らしい。
Aの腕に抱きつきながら、目当ての店へと歩き出す合歓。
終始優しい表情を浮かべるAも雰囲気が柔らかく幸せそうだ。
普段の近付き難いオーラは鳴りを潜め、服装もスーツではなく、ふんわりとしたシャツにゆったりとしたパンツスタイル。普段ポニーテールに結われている髪は下ろされ、ハーフアップで編み込みが施されている。
会った瞬間合歓が、綺麗だ可愛いだと絶賛する程だ。

対する合歓も派手すぎない華やかなメイクにレースのロングスカートととても可愛らしい。俺とA、二人してあまりの可愛さに一瞬言葉を失ってしまった。

そんな二人が笑顔で話している様はとんでもなく絵になる。

何が言いたいかと言うとつまり、周りの男共の視線がうぜぇ。
なんだテメェら、普段のAが一瞥くれれば背筋を伸ばす癖に、ここぞとばかりに鼻の下伸ばしやがって。合歓にもAにも、指一本触れさせねぇし話しかけさせねぇからな。

そんな思いで野郎共に睨みをきかせながら、合歓とAの後を追った。

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作者名:和三盆糖 | 作成日時:2020年10月18日 20時

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