エイトフット ページ15
先程まで手にあったグラスは床に散り、腰には紫色の蛸の触手が回っている。
そしてなんといっても目の前にはあの「エイトフットのジョー」が悪い顔をして笑っている。
Aは薄く黒い生地の向こうから見える景色に動揺しながらも、できるだけ距離をとろうと彼の手に触れた。
「エイトフットのジョー…」
「なんだ、俺のこと知ってるんじゃねーか」
「えぇ、貴方は海の魔女アースラの手下のエイトフットのジョー。それくらいは知っている」
冷たく突き放すように言うと先程より触手に力がもこったような気がした。
エイトフットはAの手を払い、ニヤニヤと笑った。
「俺のこと知ってんのにそんな態度とるんだな?…お前、マスターは誰だ?」
「………。」
出来ることなら答えたくのない質問だ。
身分を隠してミステリアスな女を演じるわけではないが、ここに私がいるという事はジャックハートと共にいるということ。(信じられないが彼女達には解釈されるのである)
Aは女王やアリスの面倒ごとにただ巻き込まれたく無いのである。
とりあえず、まずはエイトフットの腕(というか触手)の中から抜ける必要がある。
Aは身動きできない体をみてため息をついた。
どうやら最終手段をとるしかないようだ。
「エイトフットのジョー」
「あぁ?」
彼は呼びかけに反応しAの方を見る。
カブッ
「いっ!!?」
Aはエイトフットの首に噛み付いた。
突然の痛みに怯んだ隙に触手からするりと抜け出す。
「てめぇっ!何しやがる!!」
エイトフットは首を抑えながらA睨みつける。
Aはニッコリと笑うと早足でその場を去った。
その時は気づいていなかった。
彼に顔を見られていたことを。
「チッ…なんだアイツ。」
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MM - 続きが楽しみです! (2016年1月5日 16時) (レス) id: 694d47d3ce (このIDを非表示/違反報告)
アラナ - 話が凄く面白く、長編小説を読んでいるような満足感が1話1話にあって楽しいです。応援しております。 (2015年12月23日 16時) (レス) id: 8e50e677e7 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - きゃー//ジャック格好よすぎです!続きが気になる木です!← (2015年12月12日 0時) (レス) id: 1c82bb1eb5 (このIDを非表示/違反報告)
カトレア - 話の続きとっても気になります! この作品はとても面白いです♪更新頑張ってください! (2015年12月10日 7時) (レス) id: 14baab2ba3 (このIDを非表示/違反報告)
ココナ - ジャックハート様大好きなのでとても楽しみです!続きも頑張ってください(^O^☆♪ (2015年10月29日 21時) (レス) id: f3f3cd5972 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中原仁 | 作成日時:2015年10月18日 18時