【文豪ストレイドッグス】俺自身には価値なんてない。【男主】

いつのも部屋に ページ35

目が覚めると俺はいつも寝ている寝室にいた。
そう、俺がヨコハマに来る前に暮らしていた部屋のだ。

俺は思わず驚いて飛び起きあがる。
しかしその体は実に軽く、つい先ほどまで餓死しかけていた体とは思えない。


テーブルには食べかけのコロッケと充電済みのスマホがおいてあった。


「かえって…きたのか…？」


俺は今まで帰ってきたいとさんざん願ってきた部屋に帰ってきたのに、その心に落ち着きなかった。






部屋に帰ってきて一夜が明けた。
とりあえず、俺がヨコハマに飛んだ日から時間は変わっていないようだ。
体もあれほど頑張ってつけた筋肉がまるでかさぶたのごとく剥がれ落ち、何時もの貧弱な体がそこにあった。

待ちに待った帰宅だが、俺はあの後中原さんと島崎がどうなったのかわからずじまいになってしまった。
そして俺はどうしてこの部屋に帰ってきたのだろうか。
…もしかして死んだから、とかか？

そこまで考えて俺はやめた。
とりあえず今は朝ごはんが先だろう。
俺はトースターにパンを放り込んでテレビをつけた。







今日一日、この部屋に戻ってきてわかったことがある。
俺は相当暇を持て余していたということだ。

…普段なら訓練やら暗殺やらで基本血なまぐさく忙しかったのに、この部屋に帰ってきてからはとにかく暇なのだ。


「中原さん…今何してんだろ」

ひょっとして俺のことなんて忘れてたりして…。
俺は流れそうになった涙をぬぐい、布団にもぐった。


まるで世界で一人ぼっちになったような気分だった。









その夜、なんとなく眠れずぼんやりとテレビを見ているといつの間にか深夜アニメが放送される時間にまでなっていた。
「そろそろ本格的に眠れないな…」そんなことを考えていたらふと、テレビから実に聞き覚えのある声が聞こえてきた。









「え……」

俺は思わずテレビに駆け寄った。
間違いない、今この箱の中でしゃべっているのは間違いなく









「中原さん…なんで……？」

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