【文豪ストレイドッグス】俺自身には価値なんてない。【男主】

ちょっと番外編〜お花見大作戦〜 ページ30

作戦当日、俺はエリスちゃんと手をつなぎマフィアのメンバーを連れてお花見会場へと向かっていた。
エリスちゃんはお花見が相当楽しみだったようで、いつもは首領に着せられているドレスも自ら選んでおめかししたようだ。とてもかわいい。

俺たちはお花見会場に到着した。
だが桜の名所だと謳われる其処に桜の姿は無く、首領が訝しげに俺の方を見る。

「…御子柴君、お花見なのに桜が見当たらないんだが」

「ええ、なので皆さん少し目をつむってください」

俺はマフィアの皆さんに目をつむってもらった間に例の作戦を実行した。




「皆さん、もう目を開けてもらっていいですよ」

俺がそういうと皆さんは目を開けた。

「すごい…！」

「これはまた…」

其処には満開の桜が咲き誇っていた。

「で、何したんだ？」

「そのですね…実はある方々に協力していただいて…」

俺は中原さんに事情を説明しようとしたところで、誰かにグイッと引き寄せられた。


「やあ、御子柴君。お花見に誘ってくれるなんて実に嬉しいことをしてくれるね」

「だ、太宰さん」

「太宰てめぇ！！？」

中原さんは太宰さんを殴ろうとするが俺はその直前で止めに入る。

「じ、実は今回の作戦は探偵社の皆さんに協力してもらってて…」


そう、今回の作戦において幻を魅せることのできる谷崎さんの異能力は必要不可欠だったのだ。
だが谷崎さんを借りるにあたって、社長(というより乱歩さんの我儘)により条件が出されたのだ。


「そのお花見に武装探偵社も参加させてもらうが争い事は決して起こさないと約束できるならその作戦を手伝わせてもらおう」



「だからこのお花見では争い事は禁止されてます」

だから、と続けようとしたら今度は中原さんにグイッと抱き留められた。

「わかったよ」

「あ、そ、それならいいです」

それにしても距離が近いな。
俺は顔を寄せてくる中原さんから懸命に顔をそらす。酒でも入っているんだろうか。

「と、とりあえず！今日はお互いの組織のことは忘れて…思う存分楽しみましょう！」



それから俺たちは酒を飲み、それぞれが持ち寄った酒の肴をつまみながら談笑を楽しんだ。

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