穏やかな日常と伍日目 ページ19
伍日目、俺は昼過ぎ辺りに目を覚ました。
こんなに眠ったのは久しぶりかもしれない。
呼び出しもなく、任務も無いこんな日に俺がやる事をひとつだ。
そう、嫌という程ゴロゴロすることだ。
エリスちゃんは首領と出掛け、中原さんと芥川は任務。
黒蜥蜴もいないしひぐっちゃんもいない。
俺はエリスちゃんと首領に渡された服の中で一番動きやすそうなものに着替え部屋を後にした。
ポートマフィアの本拠地から電車で少し行った山に来ていた。
既に紅葉のシーズンは終わり、彼はが地面を覆い隠している。
俺は勢いよく枯葉の絨毯に倒れ込んだ。
「なんか……疲れたな……。」
気がついたら知らない街にいて、そこでたくさんの人に出会って、自分が二重人格の異能力者だと知って、ポートマフィアの一員になって……
もう既に俺は、ここに来る前の生活がどんなものだったかを思い出せずにいた。
「このままじゃ…絶対ダメだよな。」
乾いた声で呟いた言葉は誰に拾われるわけでもなく、静かに消えていく。
俺は胸の中でもうひとりの自分に話しかける。
「俺は…どうすればいいんだろう」
その時風が落ち葉をぶわりと舞いあげた。
俺は空を見上げる。そのままゆっくりと瞳を閉じた。
気がつけば空は茜色に染まっていた。
「しまった、そろそろ帰らないと」そう思い立ち上がる。しかし、そこで自分の携帯が震えていることに気がついた。
「はい、御子柴です」
『A、急いで帰ってこい』
その声は中原さんのものだとすぐわかった。
どうやらそうとうな用事があるらしい、声の感じが何時もとは違う。
「どうかされたんですか」
『あぁ、それがこの間のコンテナ事件の犯人がポートマフィア宛に犯行声明を送り付けてきやがってな。』
「なかなかの勇者ですね」
真面目に聞け、と一喝された。
す俺すみません、と謝り「それがどうしたんですか?」と続けた。
どうやらその犯行声明にポートマフィアの女性を狙うといった内容が書かれていたらしく、今そのせいで女性構成員の保護に忙しいらしく急いで帰ってこい、との事だった。
「それにしても、なかなかロマンティックな文を書く犯人ですね。
『組織の麗しき御婦人に永遠の愛を誓う』って…」
結構ギザな野郎ですね、そう続けようとした声は後ろから聞こえた声に遮られた。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。」
「は?」
俺は勢いよく振り返る、しかしその前に太股に激痛が走った。
「君を想って書いたんだ。」
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龍牙(プロフ) - コメント失礼します。すごくおもしろく読ませていただいています!更新頑張ってください!! (2017年9月3日 12時) (レス) id: 1df1f4fa1e (このIDを非表示/違反報告)
中原玲美(プロフ) - とっても、面白いです!更新、頑張って下さい! (2017年6月7日 0時) (レス) id: 94d50e8693 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 君枝 @ヘタリア 終セラ愛してるぅ←(プロフ) - うおおおおおおお!!めっちゃ気になるところで終わった!?続き気になります!お待ちしてます! (2017年4月16日 1時) (レス) id: 976ee58899 (このIDを非表示/違反報告)
blanc - お花見大作戦?え、めっちゃ気になる(真顔)←内容とか滅茶苦茶面白いです!更新頑張って下さい!(^^) (2017年3月31日 22時) (レス) id: 32d25253d2 (このIDを非表示/違反報告)
中原 炉騎(Roki) - 凄く面白い内容です!俺の場合、現在ミコトと言われているもう一人の人格の名前も変換できればなーと…|ω・`チラッ すいません!めんどかったらいいんです!!ただ変換出来たら嬉しいというだけです!面白い作品ですね!更新待ってます!! (2016年12月1日 2時) (レス) id: 12c7662c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめかす。 | 作成日時:2016年9月27日 23時