プロローグ ページ1
海の香りが漂うヨコハマの港に、奴はいた。
近寄り声をかけようとするといきなり蹴りをかましてきやがった。
どうやら今は御子柴ではないようだ。
俺は舌打ちをし胸ポケットに入れた煙草を取り出し口に加えた。
「ん、」
そう口を突き出せだ、アイツは嫌そうな顔をして渋々俺の煙草に火をつけた。
暗闇の港を照らすのは空に出た月と夜景のみ。怪しげな光が二人を包んだ。
「だいぶ仕事には慣れてきた様じゃねェか」
「…まぁな。俺に は人殺しの方が性に合うらしい。」
強気な言葉を放った奴の目は少し憂いに満ちていた。
俺は奴の顔に向かって煙を吐き出す。
「ゲホッ!!ゴホッ!!!!ちょ、何しやがる…っ!!?」
「悪ィ、ついかけたくなった。」
俺がそっぽ向いて当たり前のように煙草を吸ってるのが気に食わないのか、俺の口から煙草を奪うと突然吸い出した。
そして俺の顔にその煙を吹きかける。
「ゲホッ…ハッ、これでおあいこだな。」
「餓鬼見てぇだな」
煙草を地面に捨てると足で踏みつぶす。
今日の仕事は終わった、そろそろ戻るとしよう。
「そろそろ戻るぞ」
「言われなくても分かってるっつーの」
相変わらず反抗的だな、と鼻で笑うとまた蹴りをかましてきやがった。
また教育係として絞めてやろうか。そう思ったが俺はあえて無視をした。
綺麗な三日月が見える。
こんな夜は女のひとりやふたり、抱いた方が落ち着いて寝れるんだがな。
帰り道、ふと、奴が呟いた。
「…そういやアンタ、男が男の顔に煙草の煙吹きかける意味って知ってんのか?」
「あ?そんなのに意味なんてあるかよ」
だよな、ホッと肩をなでおろす。
俺はニヤリを笑い、奴の背後に回り込んだ。
そして耳元で囁く。
「確か、『今夜、お前を抱く』だったか?」
その瞬間相手の体が動いたのがわかった。
即座に後ろに下がれば奴は睨んで来た。
「セクハラで…っ、鴎外さんに訴えてやるからな!!!!」
奴の名前は御子柴A。
ポートマフィアの幹部である中原中也の「お気に入り」である。
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龍牙(プロフ) - コメント失礼します。すごくおもしろく読ませていただいています!更新頑張ってください!! (2017年9月3日 12時) (レス) id: 1df1f4fa1e (このIDを非表示/違反報告)
中原玲美(プロフ) - とっても、面白いです!更新、頑張って下さい! (2017年6月7日 0時) (レス) id: 94d50e8693 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 君枝 @ヘタリア 終セラ愛してるぅ←(プロフ) - うおおおおおおお!!めっちゃ気になるところで終わった!?続き気になります!お待ちしてます! (2017年4月16日 1時) (レス) id: 976ee58899 (このIDを非表示/違反報告)
blanc - お花見大作戦?え、めっちゃ気になる(真顔)←内容とか滅茶苦茶面白いです!更新頑張って下さい!(^^) (2017年3月31日 22時) (レス) id: 32d25253d2 (このIDを非表示/違反報告)
中原 炉騎(Roki) - 凄く面白い内容です!俺の場合、現在ミコトと言われているもう一人の人格の名前も変換できればなーと…|ω・`チラッ すいません!めんどかったらいいんです!!ただ変換出来たら嬉しいというだけです!面白い作品ですね!更新待ってます!! (2016年12月1日 2時) (レス) id: 12c7662c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめかす。 | 作成日時:2016年9月27日 23時