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猫「勾」
呼び声に、小猫は足を止める。
勾「なんでしょうか、父様」
猫「雫罪はまだ部屋かい?」
勾「はい」
猫「ならいいんだけどね」
猫はぐるりと思考を巡らすと、少しだけ口元をあげる。
勾「どうかしましたか?」
猫「いや、別にいいんだけどね。ああ、そういえばアイツはまだ篭もっているのかい?」
勾「はい。まだ前書いていたものが仕上がっていないようなので」
猫「そ」
黒猫は少し馬鹿にしたような笑い方をしながら、言葉を紡ぐ。
猫「ねぇ、今回はどうだと思う?」
勾「え?ああ・・・どうでしょう。今の所、特に目立って変わった所は無いと思います」
猫「まぁ、アルビノって時点で結構変わってるけどね。久しぶりに見たよ。176年前かな」
勾「そうでしたね。前の方が、よっぽど荒んだ性格をしていましたけれどね」
猫「時代の差ってやつだろうね。」
黒猫は黙りとつまらなさそうに壁に持たれている狐の方に顔を向ける。
猫「なぁ、お前はどう思う?」
西「・・・・・・どうでも」
素っ気なくそっぽを向く狐に、黒猫はわざとらしいため息を吐く。
猫「あーお前ほんっとつまんねぇー乗ってくれてもいいだろうが。ほーんと、お前と必ず一緒にいなきゃいけない俺って可哀想〜主人(アルジビト)も酷いことするよなぁ〜」
わざわざ狐にも聞こえるほど大きい声でいい、チラチラと狐の方を見る黒猫に、勾漣は苦笑いを浮かべる。
そんな黒猫に狐は短く溜息をはき、黒猫と勾漣に背を向けて歩き出す。
猫「あ、こら!てめ、勝手に移動するんじゃぇよ!引っ張られるだろーがっ」
西「いつも従っているのは俺だ」
怒鳴る黒猫の方を振り向きもせず、黒猫の声に応えながら狐は真っ直ぐ歩き出す。
猫「お前はいつも俺に従ってればいーの!ほんと、都合が悪くなると逃げるんだから」
西「自分のことか?」
猫「はー!?💢」
いつものような会話を交わしながら、黒猫と狐は勾漣を置いて何処かへ行く。
勾「・・・・・・」
残された勾漣は、そっと溜息をはき、猫と狐が向かった方向とは反対方向に足を進める。
勾『父様と狐さんは仲がいいな・・・あの人とも仲良くすればいいのに。狐さんはそうでもないみたいだけど、父様はあの人の何が気に入らないんだろう。そういえば、父様はなんの為に僕に話しかけたんだろ。あの子のことが聞きたいなら、自分で会いに行けばいいのに。いつもみたいに』
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作者名:ロロノア | 作成日時:2019年10月31日 19時