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男は風呂場に着くと、まず雫罪の服を脱がせ、頭等に巻かれていた包帯をはずす。
?「お前、水とか平気?」
その言葉にこくりと頷くと、男は桶に入れたお湯を浴びせる。
するりと雫罪の髪を軽くとくと、べたりと、髪の色が手につく。
?「ん?」
隠していた白い髪が、あらわになる。
手を止めた男に雫罪は不思議に思い、不安げな赤色の目が男を見つめる。
?「ん、あァ。なんでもねェよ。ちョッと、目ェ閉じといてなァ」
雫罪は男の言う通りにぎゅっと目を閉じて、身をうずめる。
男は手慣れた手付きでぱぱっと雫罪を洗い、新しい服を着せ、扉の前で待っていた猫と狐に雫罪を引き渡す。
猫「今日からここが君のお家で」
ガラリ、猫はとある部屋の扉を開ける。
猫「ここが君の部屋だ」
猫の案内したその部屋は、前雫罪が住んでいた部屋よりも広く、全面白ではなくクリーム色の壁に、雫罪よりも暗い色の天井だけれど、積み木やらクレヨンやらがあった前の部屋と比べ、何も無く、殺風景だ。
猫「お前の部屋なのだから、好きなようにしていい。じゃ、あとは頼んだぞ勾漣」
そう言うと、猫は部屋のそばに立っていた水色と白の小猫に雫罪を預けると、狐を連れ、その場をあとにした。
勾「・・・・・・」
小猫はじっと雫罪を見つめると、導くように部屋の中へ入っていく。
部屋の中から見つめてくる小猫に、雫罪は取り敢えず、部屋の中に入って見ることにした。
すると小猫はするりと雫罪の足の間を抜け、チラリと雫罪の方に視線をよこすと、何処かへ行ってしまった。
一人残された雫罪は、開けっぱの扉を閉めて、唯一部屋に存在していた布団に潜り込み、膝を抱え、丸くなって目を閉じる。
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作者名:ロロノア | 作成日時:2019年10月31日 19時