バンタンの93line-紳士なヒョンとの日常-7

128喧嘩　続き　ユンギside ページ1

ヒョナを掻き消すように音楽をかけて、お気に入りの楽器屋に足を運んだ。



「ヴィオリン、、、」



普段見ないコーナーのはずなのに目を引かれた。

前にヒョナが弾いて見せてくれたのを思い出す。

相変わらず綺麗な顔して簡単にこなすもんだから、ちょっと頭にきたのを覚えてる。

あぁ、ダメだ。

頭を振って、今度は電気屋を訪れる。

パソコン機器やらヘッドフォンやらが視界に入って落ち着く。



「イヤモニ、、、」



目が吸い込まれる様にそこに向かう。

そうえば、俺と色違いにしたとか何とかで嬉しそうに笑ってたな。

思わず口角が上がるも、すぐに舌打ちで誤魔化す。

あぁ、くそ。

電気屋を出た後は、飯でも食うかと久しぶりに知り合いが経営する店に顔を出す。



「うまい」



さすが料理はどれも美味しく、腹が膨れる。

自分が頼む訳でもないのに、目を留める。

ヒョナだったらこれを頼んでるだろうな、と置かれたままのメニューを眺めた。



「あぁ、もう、、、」



おかしくなりそうだ。

何でよりによってヒョナばっか頭に浮かぶんだよ。

これじゃまるで大好きみたいじゃないか。



SH「僕は君の全てがたまらなく愛おしいんだ」

「うわっ！！！！！」



いつかの手紙を読み上げるヒョナの声が脳内で再生される。



SH「君は僕の人生そのものだよ」



恥ずかしい言葉が流れる。



「ご馳走様でした！！！」



急に慌てふためく姿に店員には不振がられたが、今はそれどころじゃない。

馬鹿みたいに優しい声に占領されて、はっきり言ってキャパオーバーだ。

早歩きで帰ってきたのはやっぱり宿舎で、気付いたら自分の作業室だった。



「ムリムリムリムリムリ」



音にしなきゃやってられない。

勢いとその場のノリだけで、曲を創り上げる。

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