バンタンの93line-紳士なヒョンとの日常-4

83笑顔　ユンギside ページ29

「うま」



クオズのリクエストとヒョナの指示で、久しぶりに食った日本食は優しい味がした。



SH「ユンが手伝ってくれたからね」



相変わらず自然と相手を褒めているが、俺はほとんど何もしていない。

言われた調味料混ぜて、火つけて、ほっといただけ。



TH「あーこれ！」

JM「懐かしい！」



一足先に食べ終わったクオズは、先ほど発掘してきた昔のノートを見てはしゃぐ。

それを木漏れ日の様な優しさで見つめるヒョナも、どこか懐かしそう。



「あん時初めて、ちゃんとお前の顔見たよ」



人付き合いが苦手で、アイドルなんか目指してなかった。

その上、この綺麗な顔は眩しくて、直視するのをためらった。

距離を置いてた昔を思い出す。



SH「どうだった？」

「どうって、、、」



まだ韓国の雰囲気が染みついていなく、幼さもそこそこに残る顔つきだった。

彫り深で、ハッキリとした印象を与えるのに、その目は儚さを兼ね備えていた。

言うなれば、生きた彫刻。



「普通じゃなかった」

SH「それ褒めてる？」

「褒めてる褒めてる」



改めて見なくとも分かる今の顔も、あの頃から変わらない人間離れした風貌のまま。

ここにきて、改めて自覚させられる。



SH「ん？」



真正面にあるこの顔。



「やっぱり好きだわ」

SH「へ」

TH「うわぁ、、、」

JM「ユンギヒョンがデレた、、、」



身をすくめて、見る見る赤くさせる。

目も細めて、恥じらいながら逸らされる。

あぁ、忘れてた。

こいつ、俺のこういう言葉に弱いんだった。

嫌でも口角が上がる。



「お前の顔が好きだ」

JM「ひぇ、、、」



自分は好きとか可愛いとか連発する癖に。

周りからも散々言われ慣れてる癖に。

俺にだけは、この反応。



「可愛い」

TH「おー、、、」



手に持つ箸を置いて、下を向かれる。

覗き込めば、少し潤んだ瞳で睨んでくる。



JM「糖度高めだ」

TH「スヒョニヒョンが押されてる」



驚くクオズに、鼻を鳴らす。



SH「作業！！！行ってくる！！！！」



勢いよく立ち上がり、バタバタと片付けて、走っていく。



TH「逃げたね」

JM「逃げたね」

「可愛いとこあるよな」

TH「こわ」

JM「スヒョニヒョンのこと大好きですよね」

「まぁな」

TH「素直だ」

JM「素直だ」

「俺も作業行ってくる」

TH・JM「「行ってらっしゃーい」」



皿を片して、後を追う。

今頃、ラボの定位置で丸くなってるだろう。

逃げ込む場所が悪いよな。

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