バンタンの93line-紳士なヒョンとの日常-4

76不安　スヒョンside ページ13

ソウルでのライブを終えて、久しぶりの宿舎で羽を伸ばす。

1人部屋でダラダラとするのも好きだけど、今は少し気になる事がある。



「入っても良い？」



帰ってきてから、またこもり出したユンの作業室を訪れる。



SG「なに」



疲れた顔を覗かせて、入れてくれる。



「これあげる。結構効くよ」



机に置いたのは、医者からもらっている鎮痛薬。

足が痛む時に飲むと即効性もあって、楽になる。



SG「ヒョナ、、、」

「僕が知らないとでも思った？」



瞳を大きくさせたユンに自慢げに笑いかければ、観念したのかため息をつかれる。



SG「メンバーには」

「言ってないよ」



左肩の脱臼。

デビュー前にあった交通事故がきっかけで、後遺症に悩んでいるのに気付いたのは、すぐのこと。

メンバーはユンが出した歌をきっかけに、その事故のことを知ったけど、知ってるのはそこまで。

ずっと隠してきてた。

でも最近、どうしても気になるんだ。

痛みが出る期間のスパンが短くなってる気がする。

どれ程の痛みを抱えてるのかは、僕には分からない。

けど、騙し騙しでやっていけないことは、ユン自身が1番理解してるはず。



SG「さんきゅ」

「Sure.」



ペットボトルの水と一緒に流し込んだのを見届けて、安心する。



SG「どこまで知ってんだ」

「こそこそと治療に出かけてるとこまでは」

SG「全部かよ」



活動に支障が出ないように、メンバーにバレないように、病院に通う姿を何度も無言で見送った。

それでもあまり調子は上がらず、左肩を気にしてるのに気付いてた。

何も言わなかったのは、ユンも言わなかったから。

話してくれるのを待ったけど、一向にその兆しが見えないから、ちょっとでしゃばってみた。

僕の足の事でズケズケと来てくれるからね。

仕返しも込めて。

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