佐久間くん (ページ49)

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You side

「今日家行く」のひと言
たったそれだけ送られてきたけど大ちゃんの心中は痛いほどに察せられて、相当弱っているんだろうなっていうのは容易に想像がついた

わたしからなにか言うのは辞めよう
大ちゃんが話をしてくれたら言葉をかけよう、と決めて帰路に着く

家に着くとまだ大ちゃんは帰ってきていなくて
そそくさとお風呂を沸かし、ご飯の支度をすませる

23時をすぎた頃、玄関が開く音がして向かいに行けば大ちゃんが「ただいま」と無理やり笑ったのを見て胸が痛くなった

「おかえり、お疲れ様」
「んね、A」
「ん？」

「今余裕ねえわ」とそのまま手を引かれてキスをされて
そのままなだれ込むようにベッドに連れていかれた
こんな抱き方をされたのは久しぶりだった

事が済んで日付も変わった夜中の1時
シャワーを浴びて、ベッドも綺麗に直して2人並んで横になると大ちゃんは「ごめん、」と零した

「大丈夫だよ」
「帰って早々ほんとごめん」
「久しぶりだったからびっくりしちゃったけど、本当に大丈夫だよ」

頑張って稽古をしてきて、せっかくファンの人と会えたのに中止になってしまったことで大ちゃんの心は弱りきっていた

「ねえ、大ちゃん」
「ん？」
「2週間一緒に住もうよ」
「え｣

我ながら大胆なことを言ったな、と思う

「どう？我ながら名案だと思うんだけど」
「ほんとに言ってる？」
「ほんとだよ、だって2週間も大ちゃんがゆっくり出来ることなんて中々無いでしょう？それにひとりにしたら余計なこと考えそうだもん」

大ちゃんは困った顔をして笑って「そうかも」と言った
久しぶりのオフだから家でゆっくりしたければそれでもいい、と伝えるとAの家にいたいと言ってくれたから2週間だけの同棲を約束した

「サクマさん毎日Aに会えちゃうの？」
「ふふ、そう(笑)でも大ちゃんアニメ見るなら大ちゃん家のがいいかな」
「アニメ…そうだ…どうしよう……」
「大ちゃんが決めていいよ」
「んにゃ、アニメは別にAの家にいても見れるしこのままここにいる」
「ふふ、うん」

じゃあ、2週間よろしくねと笑い合えば
大ちゃんはここに来た時よりも断然雰囲気は柔らかく
心から笑ってくれたような気がしたんだ