佐久間くん (ページ18)

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「…ありがとう」
「い、いえ全然…私みたいなのが偉そうにすみません」
「そんなことないよ、ほんとにありがとう」

自信がなくて俯いていた顔を上げて改めて顔を見た
すっごい綺麗な顔
肌も真っ白で目も大きいし、鼻も高い

「さくまさんはかっこいいのでデビュー出来ます」

そんなとんでもないことを口走った私は時間差で恥ずかしくなるポポポと顔が赤くなり俯くと
上からにゃはは、と特徴的な笑い声

「そんなことちゃんと言われたことないから流石のサクマさんも照れちゃう(笑)」
「ぇっ、と……」
「でも、うれしいありがとう」

そこから一気に砕けた空気感になった私たちは色んな話をした
そこで昨日なぜひとりでこのお店にいたのか、と尋ねられる

「20歳になった記念にお酒を飲みたくて」
「え、20歳？！若！！！！」
「この前やっと20歳になったんです！」
「サクマの5個下？うわ、えー、まじぃ？」
「さくまさんは25歳ですか？」
「んにゃ、そう」
「み、見えないです」
「それはいい意味？(笑)」
「もちろんです(笑)」

その後もたくさんお話をした
昨日このバーに来たことを深く後悔したけどそんなことないかもしれない

「あ、またお会計……」
「いいのいいの、だってAちゃん誕生日だったんでしょ？そのお祝い」
「でも、昨日佐久間くんに迷惑かけたのに」

「…ん～、わかった！また会ってよ！」

なんて言われる
いつの間にか佐久間くん呼びになりタメ口でお話出来るようになっていたけどこれで会うのが最後なのにな、なんて思っていたのに、だ

「そんときにサクマさんに奢って？」
「いいの？」
「もちろん」
「わかった、じゃあつぎはわたしね」
「にゃは、やったー！AちゃんQRコード出せる？」
「うん、っと……はい」
「追加するね」

家族くらいしかいないお友達一覧に現れたサクマの文字

「また連絡するから、今日も気をつけて帰るんだよ」

そう言って彼はまた私にお金を渡してきて
断ろうとしても強引にお金と一緒にタクシーの中に押し込まれる