佐久間くん (ページ16)

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全然眠れなかった
昨日の見知らぬ男の人で頭がいっぱいだった

とりあえず今日も行かなきゃ、だよね
でも何時に行ったらいいの？本当に来るのかな…
色んなことが脳内を過ぎる

結局、昨日とさほど変わらない時間にバーに向かい
昨日と同じ席に座って彼を待つ

お金も返さなきゃ…と多めにお金を下ろしてきた

いつ彼は来るんだろう…
でも顔とかも全然覚えてないしどうしよう…

そこから1時間経っても2時間経っても彼は現れることは無かった

どうしよう、来ないのかな
やっぱり嘘だったのかな

一人で悶々としていると足早に近づいてくる人
多分あの人だ目合ったもん
ぺこりと頭を下げれば同じように頭を下げてくれる

「遅くなっちった、ごめんね…昨日と同じ個室でお願いしてもいい？」
「あ、はい…」

わたしは彼について行くことしか出来ない
マスクと帽子をして、少しチャラついた後ろ姿にこんな人だったんだ…って思った

部屋に着くなり彼はマスクやらなんやらを外しながら「っはぁー！待っててくれてよかった」と笑った

「ごめんねぇ、待たせたよね…もう仕事がすんごい長引いちゃってさあ」
「全然！お疲れさまです」
「んふ、ありがとう！待っててくれてよかったあ、サクマうれしい」

あ、そうだ彼だ
昨日もサクマって自分のこと言ってた…と思い出す

「あの！昨日はありがとうございました！」
「んにゃ、全然…昨日はちゃんと帰ってから寝れた？」

苦笑いをした私に「そうだよねえ」と困った顔をして笑う
この人こんな優しい目するんだ、、
もっと雰囲気的に怖い人かと思ってた、とそんな失礼なことを思う余裕はある

「あの、これ昨日のお金です」
「えー！貰えないよ！！！」
「いや、でも昨日のタクシー代とか諸々…」
「気にしなくていいのにぃ」
「で、でも…」

「ん、分かった…俺の話お酒でも飲みながら聞いてよ」

彼は笑ってメニューを見出す
そんなこと言われたら頷くしかないじゃないか