佐久間くん (ページ14)

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4 優しい人ページ14

You side

ふとカレンダーに目を向ければ
赤い印と 3年記念日の文字

大ちゃんは忙しいから当日お祝い出来なくても
近い日程で会えたらいいな、なんて

大ちゃんと出会った時のわたしはまだ20歳になったばかりで
今も昔も変わらず出会った時からずっと大ちゃんは優しかった

先日20歳を迎えた私は初めてのお酒は東京のお洒落なバーで飲んでみたいなんて淡い願望を抱いていた

地方から大学入学を機に都内で一人暮らしを始めたわたしは、
東京の雰囲気にイマイチ馴染めず、大学でも一人でいることが多かった

だから今日のバーもひとりだ

適当に目に入った小洒落たバーに入って若干ビクビクしながら
飲みやすいものを注文してチビチビと飲んでいた

“ねえねえ、”

なんて突然話しかけられて振り向けば知らない男の人

「えっ…」
“お姉さんひとりで飲んでんの？”
「え、あ…」
“俺もひとりだから一緒に飲んでいい？”

そう言って私の返事も聞かず男の人は隣の席に座った
一方的にその後も話しかけられるけど頭の中はパニックで
どうしようどうしたらいいんだろう…
やっぱりこんなところ来なきゃ良かった…

苦笑いでその人の会話を流すしか術はなかった

「ああもう、先にお店入っちゃだめじゃん…すみません、この子俺のなんで連れていきますね」

深く帽子を被った小柄な男の人は私の手を引いてスタスタと歩き出す
何が起きているのか分からなかった