*secret recipe*６ (ページ46)

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secret Christmas23 ページ46

A 『・・・え？し、翔、くん・・・？』

翔『・・・靴、脱いで？』

そう言うと、ワケがわからないまま素直に靴を脱いで。
それを確認したらパッと離れて少しだけ屈んで。

Aの反応が鈍いうちに。

いわゆる

『お姫様抱っこ』をして。

廊下を進んで洗面所の先のドアを肩で開けて。

一歩進んでAを下ろして。

状況が掴めないうちに。

赤い蛇口を捻って。

A 『キャッ！・・・お湯？』

驚いて顔を上げたAに。

そのまま腰を引き寄せて。

キスをした。

どれくらい時間が経ったのか、さっぱりわからないけど。
最初は戸惑ってたAも落ち着いてきたのか唇を離す頃にはいつかの、あの、付き合ってた時のように幸せそうな顔をしていて。

A 『・・・ドラマか映画みたい。笑』

そう言って笑った。

びしょびしょに濡れた俺たちは(いや、俺のせいだけれど)少し冷めた湯船を温め直して。
初めて２人でそのまま浸かった。

A 『・・・洋服のままシャワー浴びたの初めて。笑』

Aは俺の足の間、胸にもたれるように温まってて。
入浴剤の香りを楽しんでる。

翔『俺だってプライベートでこんな事すんの初めてだわ。笑』

そう。

Aとは初めてする事ってわりと多くて。

だから。つい、忘れてしまう。

俺と付き合う事の弊害の多さを。

そんな空気を悟ったのかAがゆっくり口を開いた。

A 『・・・初めて。初めて翔くんと出来ない事を見つけたんです。』

翔『・・・うん。』

A 『秘書課の移動の話は翔くんがハワイから戻ってきたら話そうと思ってたんです。けど、社内の噂が結構ダメージが大きくて・・・自信がつくまで話しだせなくって。』

翔『噂？・・・あぁ。』

俺らの世界でもよくある事に似てるんだろう、いわゆる『御贔屓』ってやつ。
あんなに忙しそうな御贔屓ヤだな、って苦笑いが出る。

A 『そんなことしてたらあのパーティーの話が出て。・・・招待リストの中に翔くんの名前を見つけたんです。あのパーティー、新婦側は同伴者が必要で・・・そこで初めて翔くんとここには来れない、って思ったんです。』

そうだよな。

いくら少人数とはいえ、俺が行ったら良くも悪くも盛り上がる。ましてや同伴者が女性なら・・・

A 『だって同伴者に新郎側のゲスト、なんて聞いたことないでしょ？・・・せっかく人数を揃えてくれてるのに・・・』

翔『・・・え？』