*secret recipe*６ (ページ44)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:32,738 hit

secret Christmas21 ページ44

着信音の出所を探すと助手席とそのドアの間に携帯が落ちていて。

画面を見て驚く。

そこには私が打ち込んだ11ケタの数字が映っていて。

どうしようか躊躇ってると着信音は切れた。

ホッとするのも束の間ですぐに着信音は鳴り出して。

また恐る恐る出てみると。

『あ、もしもし？』

A 『はい。・・・あの・・・』

『あ、A、ちゃん？』

A 『はい。・・・翔、くん？』

翔『そうそう。ごめんね、やっぱりそこにあったんだ。家に着いてから気が付いてさぁ。笑・・・もう家？』

A 『あ、もうすぐ・・・』

翔『じゃあさ？・・・着替えてゆっくりしてからでいいから届けてくれないかな？』

個人情報の塊だから拒否することできなくて。

A 『・・・わかりました。』

そう言って急いで家に帰って暖かい服装に着替えて。

翔くんの家まで歩いて10分。

ちょうど半分くらいまで来たところで雨が降ってきて。

走れば少し濡れるだけですむんだろうけど。
今は気持ちが複雑過ぎてそんな気にはなれなくて。

そのまま翔くんのマンションまで歩いて来たら。

受付に内藤さんが立っていて。

内藤『鈴木様、お久しぶりでござい・・・大丈夫ですか？！ひどくお濡れになられて・・・』

A 『あ、大丈夫です。・・・前は本当にありがとうございました。』

内藤『いえいえ。・・・櫻井様から伺っておりますが。今回は個人情報ですので鈴木様が直接持ってきてほしい、との事です。・・・本当に大丈夫ですか？ただ今奥からタオルを・・・』

A 『内藤さん、大丈夫です。渡しに行ったらすぐに帰って暖まりますから。』

そう。

携帯を渡したらすぐに帰る。

そうじゃないと多分。

涙が溢れてきてしまうから。

だから。

言い聞かせるようにもう一度。

A 『これだけ渡したらすぐに帰るので心配しないでください。』

内藤さんにそう伝えてエレベーターホールに向かった。

翔くんの部屋の前まで来て。

いつかのように深呼吸を一度して。

インターフォンを鳴らすと。

緊張し過ぎて涙がまた溢れそうになった。